乱闘で「長嶋茂雄」を殴った“唯一の男” 監督時代はおとなしい選手より“闘志みなぎる”選手を好んだ一面も
「お前ら暴力団か!」と吠えた長嶋監督
長嶋監督は93年6月8日の同一カードでも、“北陸の乱”と呼ばれる乱闘劇で、派手なパフォーマンスを演じている。
1回2死、広沢克己の左越え二塁打で本塁をついた古田敦也が捕手・吉原孝介に体当たり。吉原も倒れた古田に2度も肘打ちのような激しいタッチをしたことから、あっという間に両軍ナインによる大乱闘にエスカレートした。
ショート・川相昌弘が飛び蹴りしながら乱闘の輪に突入するなど、全員がヒートアップした状況下で、長嶋監督も「お前ら暴力団か!」と叫び、山倉和博コーチと取っ組み合っていたハドラーにヘッドロックをかける。そして、目の前にいた立教大の後輩・丸山完二コーチに「何だ、丸山。文句あんのか」と威嚇するように言った(週刊ベースボール7月5日号)。
だが、球史に残る大乱闘を演じながら、試合は0対9の完敗。2日後の6月11日の中日戦でも、本塁上のクロスプレーが原因でもみ合いとなったが、2対5で敗れた。乱闘で相手を圧倒できず、試合も黒星では立つ瀬がない。
翌12日の試合前、長嶋監督はナインに「君らには意地がないのか。ああいうことがあったら、逆に奮い立つものだろ。乱闘やってケガをするのが嫌なら、乱闘なんかするんじゃない」と過激な訓示を行う。
この檄が功を奏してか、この日巨人は延長10回の末、川相の本塁打で勝利を手にすると、同15、16日の広島戦も連勝し、シーズン3度目の3連勝を飾った。
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