70歳までの「定年延長」案も浮上し…「白鵬」退職で「八角理事長」一強体制が盤石に 就任10年、次期理事長選にも出馬か

スポーツ

  • ブックマーク

 元横綱・白鵬が相撲協会を退職した。八角理事長(元横綱・北勝海)が就任したのは2015年。以来、実質5期目の長期政権となっているが、これで貴乃花(2018年退職)に続き白鵬という2人の大横綱が協会を去ったことになる。相撲協会のトップである理事長職には、横綱・大関経験者が就くのが通例だ。しかし、平成以降11人の横綱(現役を除く)が誕生しているが、そのうち、6名が相撲界を去っている。気がつけば「八角一強」体制は盤石となる一方だ。その裏側を探った。

 ***

貴乃花との違い

 元白鵬は6月9日、帝国ホテルで記者会見を行った。協会を痛烈批判するのではないか、これまで報じられていない“爆弾”を投下するのではないか――そんな憶測も飛び交ったが、蓋を開けてみれば、拍子抜けする発言ばかり。質問にも司会者から制限がかけられ、予定の1時間よりも15分ほど早く終了した。

「冒頭では伊勢ヶ濱親方(当時。現・宮城野親方)も壇上に立った。協会を“円満退職”したことを強調するセレモニーでした。事実上、協会と絶縁する形で出ていった元貴乃花とは事情が違う。恨み節は一切表に出さなかった」(相撲記者)。

 その理由は明白だ。元白鵬にとって、協会と遺恨ある形での退職は得策ではない。彼は会見で、「今後は世界に相撲を広める活動をしたい」とし、「世界相撲グランドスラム」を開催する構想を明らかにした。トヨタ自動車・豊田章男会長ら有力タニマチとの関係は極めて良好である。その開催には、相撲協会の協力も不可欠だ。言いたいことは山ほどあっても、今協会と喧嘩をするメリットはない。バックに付く“大人”たちもそうアドバイスしたことだろう。この点が、孤立無援で辞めた元貴乃花とは大きな違いである。

「降参」会見

 しかし、これまで協会への不満を隠さなかった元白鵬がこのような姿勢に転じたことは、傍目には協会に頭を垂れたように映った。

 翌日のスポーツニッポンなどは「白鵬 降参」との文字が一面に大きく載ったほど。記事の中でも、「骨抜き」「最後まで本音の見えない会見」「誇り高き大横綱が相撲協会に降参した」とまで書かれている。

 逆に言えば、協会は、歴代最多である優勝45回、通算勝ち星1187勝を誇る大横綱を屈服させたことになる。騒動の果てに、協会に逆らえばこうなるぞという、ある種の“威厳”を示すことにも繋がったわけである。

次ページ:北の湖理事長の急死

前へ 1 2 3 4 次へ

[1/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。