70歳までの「定年延長」案も浮上し…「白鵬」退職で「八角理事長」一強体制が盤石に 就任10年、次期理事長選にも出馬か

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10年の実績は?

 既に10年の長期政権であるが、あと一期務めれば、八角政権は、歴代最長の春日野理事長の任期に匹敵する長さとなる。

「春日野さんは7期14年理事長でした。1985年に総額150億円かけて両国国技館をオープンさせましたが、これを無借金で建てた。春日野さんなしではあり得なかった」(前出・古参の相撲記者)

 一方で、八角理事長の実績はどうだろうか。

「コロナ禍で本場所が中止になったり、無観客や観客制限での開催、また、地方開催が中止になったりと大打撃を受けましたが、それが明けた今では活況が続いている。また、10月には20年ぶりの海外公演となるロンドン公演が予定されています」(先の相撲記者)

 もっとも、これはインバウンド景気に乗ったためという面もあり、“運が良かっただけ”との評価もある。一方で、

「力士の暴行事件が相次ぎ、大麻所持、違法賭博店への出入り、親方によるパワハラなど数多くの不祥事がありました。それらについての処分の違いから、“えこ贔屓”があるとも指摘されています」(同)

 功罪合い半ばといったところだが、「一強」の協会内では、否定的な声は上がってこないという。

退職で笑った人

 そして現在、内部では、更なる“改革案”が浮上しているという。定年延長案だ。

「現在、親方の定年は65歳です。これ以降5年間も、正規雇用時の70%の給与となりますが、再雇用が認められています。この定年を70歳まで延長して、75歳まで再雇用するという案が浮上しているのです。親方衆からすれば、八角執行部に従順に尽くせば70歳、場合によっては75歳まで協会にいられることになります。また、この定年制が実現すれば、制度上は八角理事長の定年は2033年6月まで。しかも、その後5年間も協会には残れます。さすがに70歳まで理事長をやることはないでしょうが、協会に残ったまま、事実上の“院政”体制を敷くことが可能になります」(同)

 白鵬退職で、最も笑った人。それは八角理事長だったのは間違いない。

小田義天(おだ・ぎてん) スポーツライター

デイリー新潮編集部

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