もう滅茶苦茶…「海外作品に100%の関税」のトランプ発言にハリウッド大混乱 3人の有名俳優を突然“特別大使”に任命も
トランプの宣言はただの思い付きだった?
だが、ヴォイトはこれを好機と捉えたのである。
アメリカ国外のロケ地が、税金優遇制度を設置しては映画やテレビの撮影を誘致し、ロサンゼルスから雇用を奪うという「Runaway Production」問題は、20年以上前から関係者を悩ませてきた。
この問題は、2003年にアーノルド・シュワルツェネッガーがカリフォルニア州知事になった時ですら、有効な手段が取られることはなかった。
そこで、「ハリウッドの特別アンバサダー」になったヴォイトは、これをなんとかするべきだと、複数のアイデアをトランプに提出したのである。それを読んだトランプは、その中にあった「最悪の場合は関税も」という下りに目を付け、そこだけを抜き出したというわけだ。
きっかけはどうであれ、これを機に映画やテレビの撮影をアメリカに呼び戻すための策が真剣に話し合われ、何かがなされるのなら、それはすばらしいことだ。ただ、具体的な進展は見られない。
トランプの「関税」発言からおよそ1週間後、ヴォイト、スタローンのほか、「全米製作者連盟」をはじめとする複数の業界団体は、国内で行われる撮影に減税のメリットを与えるなど、いくつかの具体的なアイデアを書いた手紙をトランプに送った。しかし、トランプからの反応は、今のところないのである。
撮影に対する税金優遇制度を持つ国は、オーストラリア、カナダ、イギリス、アイルランド、ルーマニア、ハンガリー、チェコなど多数だ。アメリカ国内でも、ジョージア、ニューメキシコ、ニューヨークなどの州が同様の制度を持ち、撮影を誘致している。ハリウッドを擁するロサンゼルスにも同様の制度があるにはあるものの、規模が小さい上に、いろいろと制限があり非常に使いづらい。
プロデューサーや監督、俳優にはロサンゼルスに住む人が多く、自宅から通えるところで撮影できるなら、もちろんそれに越したことはない。だが、製作費を抑えるためには、そうも言っていられないのだ。
次ページ:「Runaway Production」で最も苦しんでいるのは……
[2/3ページ]


