中居氏と親密「フジ元編成部長」の処分は“大甘”だったのか? 専門家は「適用可能なギリギリのラインでの懲戒」「出向や転籍の可能性も」

エンタメ

  • ブックマーク

「証拠隠滅」と問題視する声

「懲戒処分等について」には記載されていないが、調査報告書では編成部長が中居氏らとやりとりしたショートメールなどを削除していたことも判明した。これを「証拠隠滅」と問題視する声も根強くある。

 同社は、6月5日の記者会見で懲戒処分に関する事実調査をした弁護士が清水社長に代わり、「ラインの消去の目的は(第三者委員会の調査でも)判断されていない。我々の調査(4月以降の調査)では懲戒解雇に相当する行為ではなかったと認定した」と答えている。さらに「調査の中身であり、詳細を申し上げられないが、罪証(ざいしょう)隠滅の目的で消去したものではないと認定した」と説明した。

「一定期間で相当数を消去することに私なりに思うものはありますが、日常生活で消去をしないわけではない。本人などへのヒアリングで罪証隠滅と言えるほどの事実を得られず、このような結論になったのだろう。推測ではなく、第三者委員会の調査結果に基づき、処分を決めるという大原則に基づく判断だと思います」

 大津氏は懲戒解雇になるならば、実は(4)のハラスメントのほうが可能性は高かったとも語る。(1)から(3)までは直接の加害者ではないが、(4)は直接の加害者であるためだ。同社は「役位剥奪、降職、退職勧告又は懲戒解雇を科すことが相当とされる事情は認められなかった」としている。

「これですべてが終わるわけではない」

 元編成部長を処分するのを“トカゲのしっぽ切り”と批判する声もあるが、「これですべてが終わるわけではない」と指摘する。

「今回の調査で明らかになった様々な問題については公表されているもの以外にも処分が行われている可能性がある。なぜそれを公表しないのかという意見があるが、懲戒処分は通常は公にはしないのです。第三者委員会で取り上げられた社員については説明責任があるがゆえにプライバシーや人権への配慮の観点から必要最小限の情報を公開したはず」

 フジテレビの蘇生に必要なのはさらなる調査を徹底し、事実に基づき、処分をひるまず行っていくことなのではないだろうか。

吉田典史(よしだ・のりふみ)
1967年生まれ。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。 著書に『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』(ダイヤモンド社)など多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。