中居氏と親密「フジ元編成部長」の処分は“大甘”だったのか? 専門家は「適用可能なギリギリのラインでの懲戒」「出向や転籍の可能性も」
懲戒解雇も検討した?
一連の問題が週刊誌報道で発覚したのが、昨年12月。編成部長が中居氏と女性社員との間に起きたトラブルに直接関与しているかのような報道があった。
「大きな社会問題になり、当初は社内に懲戒解雇という意見もあったのではないかと思います。しかし、社会的な関心事となったことでより慎重な調査や議論が行われた結果、その選択肢はなくなったのではないか」
懲戒解雇をしなかった大きな理由の1つに、本人が加害事件に直接関与していない裏付けを同社が得たからだと大津氏は見る。
裏付けを得る手段として、12月から1月にかけて人事部、担当役員、社長などが本人に繰り返し確認した可能性がある。第三者委員会によるヒアリングを通じて3月末に調査報告書が発表されたが、ここでも関与していないと結論が出た。調査報告書をもとに、第三者委員会とは別の弁護士らが4月から5月にかけてさらに事実確認をした。同時期に懲戒処分の内容を議論する社内の賞罰審査委員会でも審議を行った。
これら一連の手続きで本人が事件当日には直接関与していないと結論を導いた以上、懲戒解雇の選択肢はなくなったと語る。
「懲戒処分にする場合、賞罰審査委員会での審議が必要と就業規則に記載されているので、それを踏まえての調査や審議のはず。慎重に進めた結果、かなりの時間を要したが、手続きには違和感はない」
憶測で決めるものではない
だが、依然として当日のトラブルに間接的には関わっていたのではないかと問題視する声はある。
その1つが、入院中の女性社員への見舞金と中居氏に弁護士を紹介したことだ。中居氏が女性に何をしたのかを知っているからこそ、見舞金を渡そうとしたり、弁護士を紹介したりしたのではないかと見るものだ。
これに対し、同社は「懲戒処分等について」で、「(元編成部長は被害を受けた)女性が直属上司に、中居氏から被害を受けたと申告しているのを把握していなかった」としている。あるいは、「病状の程度及び心情等を認識していなかった」とも記載した。そして「上記各行為(前述の(1)~(3))に退職勧告や懲戒解雇を科すことが相当とされる事情は認められなかった」と述べた。
「第三者委員会の調査報告書において本人が当日のことは知らなかったという結論になっている以上、それをもとに処分を決めることになります。“実は知っていたはず。そのうえで見舞金を渡し、弁護士を紹介したはず”といった憶測で決めるものではない」
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