中居氏と親密「フジ元編成部長」の処分は“大甘”だったのか? 専門家は「適用可能なギリギリのラインでの懲戒」「出向や転籍の可能性も」

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部長職は解きながらも管理職としては残した?

 大津氏は「同社の就業規則や人事制度を把握していないため、正確には判断が難しい」と前置きして解説する。まず、着眼したのが「降職または役位剥奪」。

「懲戒解雇はもちろん、退職勧告も雇用関係を解消させるという点では実態は解雇に近い。今回は直接の加害行為が認められない以上、懲戒解雇・退職勧告は難しいと考えます。しかし、社内における立場を前提とすれば(1)から(3)の行動は大きな問題。また結果として会社業績にも大きなダメージを与えることとなった。これらを考慮すると、降職という退職勧告の次に重い処分を行ったのではないだろうか」

 次に挙げたのが、「4段階の降職」。

「降格ではなく、降職とされているのがポイント。多くの日本企業が採用してきた職能資格制度であれば、通常、降格と規定されます。同社では役割等級制度など比較的ジョブ型に近い人事制度を採用しているのかもしれない。職能資格制度における降格は能力基準で定められた人事制度上の等級を下げること。降職は現在の役職や職位からさらに低い役職、職位に下げるもので、役割が見直されれば職務ランクが下がることが多い」

 日本企業では降格が少ない。職能資格制度は従業員の保有能力の高さを評価するものであることから、等級や資格を下げるのは難しいとされている。法律面の問題もある。降格の理由や手続きの正当性、公平性や客観性をめぐり、裁判で多数争われてきたが、会社側からすると厳しい判決が少なくない。

「職能資格制度ではなく、担当するポジションの役割の大きさを評価する役割等級制度ならば部長職を解くとその役割がなくなることで担当する責任も小さくなり、ランクが下がる。これを降職として、部長職よりも4等級下の役割にしたために4段階の降職となったと考えることもできます」

 大津氏はその1つのケースとして部長から部長代理、次長、課長、課長代理にするモデルを説明し、課長代理など管理職(非組合員)の最下位の役職にした可能性がありうることも指摘した。

甘い処分とは思えず、本人に一定の打撃はある

 収入については「当然、影響があると推測できうる」と語る。

「役割等級制度ならば編成部長は他の管理職よりも責任が相対的に重く、賃金が高いことが考えられます。その役割を外れ、4等級下になると賞与なども含め年収で数百万円下がることもあるかもしれない。半分以下になるとは想定しづらい」

 退職金にも影響が出ることもある。勤続年数に加え、役割などを踏まえ、退職金を決める制度ならば編成部長を続けた場合と比べて相当な減額になりうるという。

 1か月間の懲戒休職後の扱いについては、同社内で検討されてきた可能性を指摘する。

「元編成部長の配属を受け入れることができる部署は少ないかもしれない。また、(4)の事件でハラスメントの被害を受けた女性社員への配慮もある。よって1つの案としてグループ会社への出向も検討されているかもしれない。出向先の会社で転籍の可能性も考えられる。同社に残ろうと、出向・転籍になろうとも、要職に戻る可能性は低いようにも思えます。総合的に捉えると甘い処分とは思えず、本人に相当の打撃はあるのではないか」

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