中居氏と親密「フジ元編成部長」の処分は“大甘”だったのか? 専門家は「適用可能なギリギリのラインでの懲戒」「出向や転籍の可能性も」

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 6月5日、昨年12月から続くフジテレビ騒動に1つの結論が出た。同社は元編成部長を降職とするなど、あわせて5人の処分を発表した。元編成部長は、中居正広氏から性暴力を受けた同社の元アナウンサーの女性への対応が問題視されてきた。それは3月31日に発表された第三者委員会の報告書では、「二次加害行為と評価し得る」と指摘を受けた。

 SNSなどでは処分の発表前から懲戒解雇を期待するかのような声が目立った。降職となった今は、「なぜ、解雇にしなかったのか」と疑問の声が高まりつつあるが、人事労務に精通する社会保険労務士の大津章敬氏に伺い、処分の裏側をあぶり出した。

【吉田典史/ジャーナリスト】

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ギリギリのところまで試みた処分

「社会を騒然とさせた事件だけに、“甘い”といった声はある意味で当然かもしれない。だが、過去の裁判例など労働法の観点から見ると、処分としてできうるギリギリのところまで試みたように思われます」

 処分の対象は、以下の(1)から(4)までの4つの行為。同社が6月5日に発表した「懲戒処分等について」から抜粋したもので、重複する言葉は筆者が削除している。
(1) 中居氏から依頼を受け、被害を受け、入院中の女性社員に見舞金を渡そうとしたことやフジテレビが前々から継続し、法律相談をしてきた弁護士を中居氏に紹介したこと。

(2) ホテルの部屋での出演者と女性社員などが参加する会食で出演者から女性社員ら2人のみを残し、退出するよう働きかけられた時、社員の中で最も職位が高かったにもかかわらず、その働きかけを止めずに退出したこと。部屋に残った女性社員ら2名のうち1名が出演者からハラスメント行為を受けた。

(3) 出演者との会食の際、女性社員を誘い、女性社員が参加した数時間後、女性社員がトイレに立った際にその場を離れ、出演者と女性社員2名のみ残した。女性社員は出演者から場所を変えようと言われ、別の店に移動したところ、出演者からハラスメント行為を受けた。

(4) 後輩の女性社員を食事に誘い、当該食事の際に、当該女性社員に対し、ハラスメント行為をした。別の後輩の女性社員を食事に誘い、当該食事の際に、当該女性社員に対し、ハラスメント行為をした。

 上記(1)~(3)を就業規則に違反する「非違行為」と捉え、降職(4段階)とする。(4)も「非違行為」で懲戒休職(1か月間)とした。同社の懲戒処分は重いものから懲戒解雇、退職勧告、降職または役位剥奪、懲戒休職、謹慎、減給、けん責、戒告としている。

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