マスクvs.トランプでテスラ株が17%暴落でも「売るな」 投資家が期待する「物理AI」事業とは
先週、これまで蜜月の関係を続けてきたトランプ大統領とイーロン・マスク氏との決裂が、全世界に衝撃を与えた。マスク氏がCEOを務めるテスラ株は一時17%超も暴落。最終的な下げ幅は前日比14.3%安だったが、それでも1日で1500億ドル(約21.4兆円)が吹き飛んだ計算だ。テスラは6月12日に新事業に関する重要なイベントを控えているというが、その事業の行く末にも暗雲が――? マネックス証券の岡元兵八郎氏の最新レポートをお届けする。
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マスク氏の“一線を越えた”発言
先週、米国政治のただ中で、「2人の巨大な存在」が真っ向から衝突する事態が起きました。
きっかけは、トランプ大統領が推し進めていた大型財政改革法案である、「ひとつの大きくて美しい法案」に対し、世界で最も影響力を持つ企業家のひとり、イーロン・マスク氏が自身のSNS「X(旧Twitter)」で痛烈に批判したことでした。
「この法案は財政赤字をさらに悪化させるだけの無駄遣いに過ぎない」と断じたのです。
ここから蜜月だった2人の関係は誰もが想像しない急展開を迎えたのです。まさか、あのマスクとトランプが真っ向から衝突するとは、誰が想像したでしょうか。
先ほどのマスク氏の投稿に対し、トランプ大統領は
「イーロンは、私がEV義務化を撤廃したことに腹を立てているだけだ」
と、挑発的な反論を展開。これが新たな火種となり、マスク氏は激怒。
「トランプは嘘をついている」と応酬し、さらに一歩踏み込んで「トランプはエプスタイン関連のファイルに名前が載っている」と暴露とも取れる発言まで飛び出しました。
これは、自殺した実業家、ジェフリー・エプスタインが関わったとされる、少女らへの性的虐待事件の「関係者リスト」などを指しての発言と受け止められています。
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