移民対策への抗議活動めぐり州兵動員 混乱の色を増すカリフォルニア、トランプ大統領がMAGA主義者寄りの政策に舵を切る理由

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トランプ関税は「安定的な財源」にならない?

 トランプ関税の具体的な効果が明らかになってきている。

 米国の4月の貿易赤字は前月比55.5%減の616億ドル(約8兆8000億円)となり、過去最大の縮小幅だった。関税導入前の駆け込み需要の反動で、先に輸入が過去最大の減少となったことが主な要因だ。

 関税収入も急増している。5月の関税収入は前年の約3倍に相当する230億ドル(約3兆3000億円)近くに達し、月間ベースの過去最高値を更新した。

 米議会予算局は6月4日、トランプ関税による収入の増加を受け、財政赤字は今後10年間で2兆8000億ドル(約400兆円)圧縮されるとの推計を示した。

 トランプ氏は、先月下院を通過した過去最大規模の減税法案の財源の1つとして関税収入に期待している。だが、他国との関税交渉で収入が変わる可能性があり、安定的な財源となるかどうかは不明だ。

関税のマイナス面が米国民を直撃

 トランプ関税は着実に威力を発揮し始めているが、国民の暮らしにとってはマイナス面が多いと言わざるを得ない。

 まず指摘しなければならないのは、関税の逆進性だ。エール大学予算研究所は低所得世帯ほど大きな打撃を被ると分析している。

 米国経済の景況感も悪化している。5月の製造業購買担当者景気指数は前月比0.2ポイント減の48.5と、好不況の境目である50を3カ月連続で下回った。5月中旬に中国と互いに課していた関税を115%引き下げたが、企業心理が好転することはなかった。

 4月の個人消費支出価格指数は前年比2.1%上昇したが、伸び率は前月の2.3%から鈍化した。経済的な不確実性が高まる中、消費よりも貯蓄に資金を振り向けていることの表れだ。

 米国のレジャー産業も苦戦を強いられている。ロイターは3日、今年夏の米国人の旅行需要は低調と報じた。家計の財布の紐は固く、航空機での長距離旅行から自動車で移動できる圏内の旅行にダウングレードする動きが顕著だ。

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