移民対策への抗議活動めぐり州兵動員 混乱の色を増すカリフォルニア、トランプ大統領がMAGA主義者寄りの政策に舵を切る理由

国際

  • ブックマーク

州兵同士の衝突という最悪の事態も?

 トランプ氏はMAGA主義者の長年の悲願である不法移民対策にも本腰を入れているが、強引な執行は社会の混乱を招く。

 カリフォルニア州ロサンゼルスでは、当局の移民取り締まりに対する抗議活動が2日連続で実施された。これを受けて8日、トランプ政権が派遣した州兵が現地に到着した。BBCによれば、州知事の要請なしに州兵が動員されるのは1965年以来初とみられている

 同州のニューサム知事は9日、州兵の動員は違憲として連邦政府を提訴した。それに対し、トランプ氏はニューサム氏を逮捕すべきという側近の主張に同調する構えを示すなど、緊張状態が高まっている。関係がさらに悪化すれば、州の州兵がトランプ派とニューサム派に分断される可能性も排除できなくなるだろう。

 連邦政府の移民政策に対する反発は、民主党が主導する他の州でも同様だ。対立がカリフォルニア州から国全体に広がる事態となれば、州兵同士の衝突という最悪の事態が起きてしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

「南北戦争が再来する」と主張するつもりはないが、窮地に追い込まれつつあるトランプ氏の言動に今後も最大の関心を持って注視すべきだろう。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。