中3で父が失踪、2人で暮らす「血のつながらない母」が初恋だった 42歳男性の“歪んだ結婚観”

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結婚におぼえた「贖罪」の気持ち

 24歳のとき、良輔さんは10歳年上の女性と結婚した。なれそめについては本人の希望で伏せておく。向こうには5歳の娘がいたが、彼はまるごと引き受けた。娘は「パパ」と懐いてくれた。

「なんだろう、継母に対する贖罪みたいな気持ちでしたね。ただ、そんな気持ちは長続きしませんよね。今度は僕が罪を犯しました。彼女に対して同情はあったけど愛情はなかったと数年のうちに気づいてしまったんです」

 娘はかわいかったが、妻とはまったく合わなかった。会話も性格もセックスも。妻も努力はしていたようだ。だが、だんだん妻の口調ひとつにも苛立つようになった。

「たとえば、僕が夕飯に間に合わずに帰宅すると、食卓には何もない。いいんですよ、別に。自分でやればいいんだから。だけど妻が『食べる?』と聞くから『うん。いいよ、自分でやるから』というと、彼女は何も言わずにおかずを温めたりする。ありがとうと言うと、はあーっと大きなため息をつくんですよ。それだったら自分でやったほうがずっといい。だから自分でやるよと言っているのに……。細かなことですが、そういうのが積み重なるとこちらもストレスになるんですよね」

 結局、この結婚は5年ほどで壊れた。彼は娘に申し訳なくてたまらなかった。離婚するとき「いつでも連絡していいんだからね」と言い聞かせた。娘は号泣して、なかなか彼から離れようとしなかったという。それが彼の心をその後も苦しめた。

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 こうして良輔さんの最初の結婚生活は終わりを告げた。【記事後編】では2度目の結婚、そして現在の彼が「オレは愚か者」と自嘲するに至る経緯を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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