中国「四中全会」を前に浮上する「習近平」国家主席“引退”の日…有力チャイナウォッチャーが「ポスト習近平」の名前まで指摘

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長老から“引退”を迫られ

 中国では今年、共産党の重要事項を決める第四回党中央委員会全体会議(四中全会)が、開催される。

 とりわけ、この会議(あるいは来年の五中全会)が注目されるのは、政治局委員の人事が行われることがあるからだ。政治局委員は、次の最高指導部(政治局常務委員)に入る可能性があり、ひいては中国のトップ人事が動くことを意味している。

 その、四中全会が8月27日~30日に開かれることが決まったと、セルフメディアで流したのは華人チャイナウォッチャーの蔡慎坤氏だ。しかも蔡氏によれば、四中全会に先んじた党政治局拡大会議で党の長老たちが習近平国家主席に引退を迫り、後継者として副首相の丁薛祥の名前まで挙がったという。

 現在、中国で実力のある長老といえば元首相の温家宝や王岐山副総理あたりだが、蔡氏は、これに曽慶紅(元国家副主席)の名前も加えている。玉石混交の情報が溢れるチャイナウォッチャーの中にあって、李尚福国防相の解任をいち早くスクープするなど、蔡氏には独自の情報源がいることが窺える。

「軍を完全に掌握できていない」

 それにしても、22年の党大会では定年制を破ってまで留任を強行した習氏に、なぜ引退説が浮上するのだろう。そもそも権力基盤は盤石のはずではなかったのだろうか。

 元産経新聞中国総局記者でジャーナリストの福島香織氏が言う。

「少なくとも習国家主席は人民解放軍を完全に掌握できているとは言えません。どこの国の独裁者でもそうですが、彼らは権力が安定するまで敵対しそうな幹部の粛清を続けるもの。(昨年の李国防相の解任や、今年に入ってから中央軍事委員会委員の苗華の資格剥奪など)粛清を止めようとしないのは、軍における権力が確立できていないことを物語っています」

 加えて、不動産バブルの崩壊や過剰債務で、中国経済は低迷したまま。最近では習国家主席によって引退に追い込まれた王岐山の部下が天津市で昇進するなど、経済政策に強い“王派”の復権も目立つ。一方、72歳を迎える習国家主席の言動からは、かつての威圧感が伝わってこない。

 さらに驚かされるのは、引退を勧められた習国家主席はこれを受け入れ、体面を保つ方法で引退させて欲しいと要望した、と有名エコノミストの蘇小和氏らが伝えていることだ。

「この手の話はもちろん、噂であって玉石混交の話どころか石がほとんどです。しかし、全てが間違っているとは限らないのが、チャイナウォッチャーからの情報でもあるのです」(同)

デイリー新潮編集部

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