八神純子、「どこでブレスをするのかわからない」自作曲を歌い上げた80年代アイドルに驚き! “まさかの国”進出への想いも語る
11分超の「TERRA」は「今までの私の経験のすべて」、KAZUKIの存在にも感謝
そういったグローバルな意識の集大成として制作されたのが、’21年に発売されたアルバム『TERRA - here we will stay』だ。また、本作は‘24年にベスト選曲のCDをdisc2に追加した2枚組『“TERRA - here we will stay” Premium』も追加でリリースされている。
「コンサートにいらっしゃった方から、“今日歌ったこの曲とあの曲が入ったCDはどれですか?”といった問い合わせを受けることがあるのですが、それが過去のアルバムに分散していたりするんですね。それで、“これひとつにみんな入っていますよ”と言える作品を作りました」
確かにDisc2は、昭和のヒット曲のライブ・バージョンや、活動再開後の人気曲をまとめたベストな選曲なのだが、Disc1に収録されたオリジナル曲のほうも、全13曲すべて力作ぞろいだ。
例えば、近年のライブでファンとサビの部分を歌い合うエンパワーソング「負けないわ」、『竹取物語』を現代の恋愛ドラマ風に仕立てた「恋したかぐや姫」、心地よいボサノバ風の「Just Breathe」、岩手県の魅力をたっぷり詰め込んだ「Good Day & Good Time」など、人々の暮らしに寄り添ったラブソングからライフソングまで盛りだくさんである。
さらに、表題曲でもある、組曲風の「TERRA ~here we will stay」は、地球を過去から未来までたどった歌詞や神々しいアレンジのなかで、圧倒的なスケール感で歌い上げる11分超の大作。ライブでも60代になってなお、精力的なパフォーマンスに驚かされる。
「『TERRA』は、“今までの私の経験すべて”という気がしますね。特に、今は環境面など地球規模の問題があり、政治や戦争の面でも、私には想像を絶する展開がありますから、アーティストの責任として歌いたいと思いました。それで、いずれ英詞でリリースしようと思っていて、その時はストリーミングでの展開も考えています。海外では、ストリーミングなしでは絶対にリスナーに届かないので」
ちなみに、活動再開後の楽曲の多くは、作詞をKAZUKIが担当しているが、通常のJ-POPには収まらない幅広いテーマや言葉の選び方が実にユニークで、それがタフで流麗な八神の歌声にピッタリとハマっている。
「ある方に、“KAZUKIというのは八神さんのペンネームですか?”と聞かれたこともあるんです(笑)。それくらい自然に歌えるんです。KAZUKIさんとは、東北の支援をご一緒したのが最初ですね。とても心を打つ文章を書く人がいるのだな、と。この『TERRA』も、KAZUKIさんがいなければ完成しなかったでしょうね。
私は『Mr.ブルー~私の地球~』を歌っていたころから、スケールの大きな作品を求めていたんだと思います。だから、南米の音楽祭にも出演したんでしょうね。三浦徳子さんにも、“曲を聴いていると、なんだか大きなものが見えてくる”と言われたことがあります。他にも、本格デビューする前に出したシングル『雨の日のひとりごと』のB面の『何故だかつらいの』の感想で、“若い高校生がこんな歌を歌っているのか”って言われたこともありました。だから、当時のさまざまな経験が『TERRA』につながっていたんだと思います」
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