44歳夫の心がついに折れた…妻の「まさか」の実験提案 知り合って18年「ずっと振り回されてる」

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【前後編の後編/前編を読む】「私の男友だちと3人でどう?」自由すぎる年下妻についていけない… 通じない“常識”に悩む44歳夫の夫婦関係

 今村晴也さん(44歳・仮名=以下同)は、年下の絵梨さんと、数年間の片思いを経て交際に至り、同棲を始めた。だが、セクハラ上司にビンタをしたり、突然、海外放浪を始めるといった絵梨さんの“自由”な価値観は、男女の関係についても同様で、彼を悩ませた。「今度、私の男友だちと3人でしない?」と言い出す絵梨さんに戸惑い、晴也さんが拒否をすれば「信頼し合っている私たちだからできることなのに」と不満げ。そんな絵梨さんを見て、晴也さんは複雑な思いを抱くのだった。

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 だからといって晴也さんの絵梨さんへの思いが冷めていくことはなかった。自分には理解できない感覚をもつ絵梨さんにますます興味と関心は募っていったが、一方で自分が「成熟していない男」に見られているのではないかという思いも大きくなった。

「こうなったら結婚することでしか彼女をつなぎ止められないのではないか。そう思ったんですよ。それで僕を好きなら結婚という形をとってほしいと言いました。すると彼女は『形はどうでもいい。私は晴也が好きだし、私から離れるつもりはない』と。だから婚姻届をもらってきて記入して提出しました。晴れて夫婦にはなったけど、なったらなったで、中身が伴っていないのではないかと不安になったりもしました。自分が彼女からの愛情を確信できないんですよね。いくら形が整っても不安は消えない」

 人を好きになることは、ただそれだけでせつなさを伴う。相手は自分ではないとはっきりわかるからだ。一心同体なんてあり得ないと確信するのが恋なのかもしれない。

「結婚したら彼女との関係が盤石になるわけではない。それを思い知ったので、子どもができれば何かが変わるかもしれないと思ったんです。彼女は日ごろから、言葉で愛情表現をちゃんとするタイプで、いつも『私は晴也が好きだよ』『晴也は大事な人』と言ってくれてる。それでも信じられなかった。だから子どもがほしいと彼女に言ったんです。そうしたら彼女は『私は今はほしくない。だから悪いけどピルを飲んでる』って。取りつく島がないという気がしました」

たぶんデートしているんだと思うと…

 絵梨さんには、晴也さんが何を不安に思っているのかわからないようだった。絵梨が好きなのは自分だけではないのではないか。それがいちばんの不安だが、率直にそう言うことができなかった。

「案の定、絵梨は他の誰かとデートしているようでした。仕事の延長線上で食事くらいすることはあるでしょうけど、週末のどちらかには必ず出かけていく。たぶんデートしているんだと思うと胸がかきむしられるような気持ちでした」

 絵梨は結婚しているけど、外で恋をしているのではないか、それは不倫だよと言ってみたことがある。恋なんてしてないと絵梨さんは言ったそうだ。男友だちに会ってはいけないのか、あなたはそれほど狭量なのかと逆にツッコまれた。

「生きているうちに会える人数なんて限りあるもの。縁があって気が合いそうなら、じっくり話をしてみたい。それが自分自身の幅を広げることになる。そう思うのは間違いなのか」

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