「たすけて下さい この男の人わるい人」…未解決事件の「長岡京ワラビ採り主婦殺し」 ポケットに残された「ダイイングメッセージ」の謎

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何度も野山に

 ワラビは野山のあちこちで採れる。が、最もよく採れる場所の一つが、この開けた場所からもう少し山の奥に入った梅林のある辺りだ。2人の主婦はその辺りでワラビを採り、頂上付近か、あるいは、この開けた場所まで下りて、弁当を食べたと思われる。2人のナップザックには、すでにワラビが詰め込まれていた。胃の内容物――飯粒、ノリなどの消化の状態からして、食後、1時間以内に殺されたことが明らかである。その時間は、おおむね午後1時半から2時の間と見られている。

 当日は晴れていた。A子さんとB子さんは、市内のスーパーで、開店前の午前6時から10時まで、生鮮食品を売場に並べるパートタイマーの仕事をしていたのだが、この日、誘い合ってワラビ採りに出かけた。2人はスーパーの弁当を買い、自転車で、3キロほど離れた野山に出発した。B子さんはワラビ採りは初めてだったが、A子さんは、何度も野山に行っていたという。

「A子さんは口数が少なく、本当に面倒見のいい方でした。いつもニコニコして、無言のうちに頼れる方でした。B子さんはほがらかでおしゃべり。職場でちょっと大きな声がするとB子さんなんです。まわりを明るくする方で、あの人がいないと仕事も静かだった。初めてのワラビ採りで、“これがワラビ? あっ、こんなにある”と歓声をあげ、お弁当もはしゃいで食べただろうと、姿が目に浮びます」(スーパーの同僚)

被害者の周辺ではない

 A子さんには子供がなく、夫婦2人暮し。夫(49)は国鉄の吹田操車場で整備の仕事をしており、この日は夜勤で、妻の異変を知る由がなかった。

 B子さんには3人の子供がある。夫(40)は建設会社の運転手。当日は午後8時に帰宅。妻が帰っていないので、すぐに心当たりを捜し始めた。翌朝、家に帰ったA子さんの夫とも連絡がつき、2人は、妻を捜しに野山へ出かけた。山の麓の住宅地の中の空地で、自転車を発見。警察に届け出た。2人の主婦の遺体が見つかったのは、翌5月25日の午前中である。

「今のところ犯人が被害者の周辺という線はありません。変質者重点です」(向日町署に置かれた捜査本部の幹部)

 2人の夫、スーパーの関係者など、むろん警察は洗ったが、こちらの線は消えた。

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