偏差値74の進学校から得意な物理を選択し、私大の合格を目指した…女子柔道元日本代表「朝比奈沙羅」が明かす医学部受験

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 世界無差別柔道選手権と体重別の世界柔道選手権の女子柔道78キロ超級で、過去3度、世界を制した朝比奈沙羅選手は、東海大学卒業後の2020年4月に獨協医大に入学し、「父の影響で幼い頃からの夢だった」という医師を目指して今も勉学に励んでいる。都内屈指の進学校として知られる渋谷教育学園渋谷中学・高校(以下、渋渋)に通いながら、選手として国内外の転戦を続けるスケジュールの中で、どのように勉強と向き合い、栄冠を掴み取ったのか。朝比奈選手に実際の勉強法やスケジュールの管理術について語ってもらった。(全2回のうち第1回)

さまざまな習い事を経験

 朝比奈選手のハイレベルな文武両道は、麻酔科に勤務する父・輝哉氏の熱心な指導なくしては、成し得なかったと言っても良いだろう。

 幼い頃の朝比奈選手は、両親ともに医療従事者で日中は家を留守にしていた鍵っ子ということもあり、学校を終えると、公文式、そろばん、バスケットボール、水泳、ダンスといったさまざまな習い事に通い、知見を深めてきた。

 そして、小学校2年生だった2004年の夏、アテネ五輪の男子柔道100キロ超級に出場して金メダリストとなった鈴木桂治氏(現、全日本柔道男子監督)の姿に心を動かされた朝比奈選手は、柔道の総本山・講道館の少年部にあたる春日柔道クラブの門を叩いた。

「初めて自分で率先して始めた」という柔道に向き合いながら日々実力を高め、小学5年生の時に全国少年柔道大会の団体戦に出場。ベイカー・茉秋選手(ましゅう・リオ大会男子90キロ級金メダル)、ウルフ・アロン選手(東京大会男子100キロ級金メダル)らと共に臨んだ大会で、全国3位の成績を収めた。

塾に通わず渋渋に合格

「運動も勉強もやる以上は徹底的に。もし両方頑張らないのなら、それは能力の持ち腐れだ」

 そのような教育方針を是とする朝比奈家では、毎日2時間の勉強が日課となっていた。習い事から帰宅し、夕食後のダイニングテーブルで父が隣で見守るなか、毎日勉強に励んだ朝比奈選手は、やがて高い集中力を養い、勉強の習慣も身に付けていった。

 その後、父の強い意向もあって朝比奈選手は中学受験を決断。「受験コンサルタント並に詳しい情報を集めていた」父と共に独学で勉強を続け、「間違えなければ確実に加点される漢字書き取りなど、要所を押さえた勉強で」偏差値74~77 (首都圏模試)の難関校・渋谷教育学園渋谷の合格を掴み取った。

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