「コメ価格下落」は確実に それでも「石破官邸」が恐れていることとは

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メディア対策担当相

 更迭同然の辞任を受けて後を任されたのは小泉進次郎氏だった。

「情報番組などがこぞってコメ問題を取り上げ、令和の米騒動とまで言われる段階に至っては、発信力・アピール力のある人を持ってこないと太刀打ちできない。小泉氏の起用は考えられる中で良い人事だったと言われていますね」(同)

 メディア対策担当相と言った方が実態に即しているようにもうかがえるが。

「小泉氏は就任前に森山裕幹事長に“ある程度暴れる”旨を伝えて了承を得ています。“石破内閣は実質的に森山内閣”と言われるほど森山氏の意向が政権運営に反映されていることに加え、森山氏は農水族のドン的存在です。日本の農業・農政は長らく自民党と共にあったわけですが、そこを少し触りますよと小泉氏は伝えたわけです。7月に迫った参院選で負けないためには少なくともコメの価格を下げなければという点では森山氏も同じ意見なので、小泉氏の発信力に託したということでしょう」(同)

参院選の号砲が鳴った

 できるだけ速やかにコメの価格を下げてアピールし、参院選をうまく切り抜けた後に、日本の農政が抱える問題について切り込むのか否か、それはまたその際に考える……といったところなのだろう。

「自公与党が消費税減税も現金などの給付もしない中で参院選対策の特効薬を求めたら、コメの価格を短期間で下げることに行き当たる。小泉氏を後継大臣に指名した時点で参院選の号砲が鳴った印象を持っています。実際そう遠くない時期に"コメの価格はある程度下がったなぁ”との印象を世間から持たれる程度になるのではないかと見ています。ただ、官邸が警戒しているのはそれが政権の支持率上昇につながるのかということのようです」(同)

 どういうことなのか。

「大臣が小泉氏に変わって、しかも短期間でコメの価格が下がるなら、もっと早く大臣を変えれば良かったのではとか、生産者の立場はどうなるのかなどといった批判が出てくることは間違いありません」(同)

いっそのこと

「その辺りを丁寧にうまく説明できなければコメの価格を短期間で下げた功績も水泡に帰すことになりかねず、石破内閣の責任を問う声が高まって行くことでしょう」(同)

 7月の参院選で改選される自公与党の議席は66。これが50を大きく割り込めば参院でも過半数割れが現実味を帯びてくる。24日、自民党の麻生太郎最高顧問と森山氏が揃って参院の過半数に触れる発言を行ったが、それだけ危機感があるのだろう。

「農政を根本的に変えるには時間がかかるため、ここは一点突破ということでコメ価格の下落にひとまず政権は賭けたと言っても良いでしょう。ただ一方で、いっそのこと衆参共に過半数割れして連立の組み替えとかを考え直した方が政権は今よりも安定するだろうといった指摘は自民の中の一部にはありますね」(同)

 国民はこれにどんな声で応えるのだろうか。

デイリー新潮編集部

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