「人生に疲れたら畑においで」 元サッカー日本代表・石川直宏さんが農家になった理由
「喜んでもらうという意味では、プレーしているときと一緒」
引退後、ファンや地域とクラブの間をつなぐ役割を果たすべく、FC東京クラブコミュニケーター(現・コミュニティジェネレーター)をしていた石川さんは19年、三鷹市で行われたサポーターとの交流イベントに参加した。採れたて野菜をバーベキューで食べ、種まきや収穫を体験すると楽しかった。
農業をすることに現実味が出てきたのは21年、知人の妻の実家が飯綱町に持つ畑が耕作放棄地になっていると知らされたとき。早速現地に行き即決。ここで農業をやりたいと思った。
「ちょうどコロナ禍で、この畑の作物をサポーターに届けたら喜ぶだろうなと思ったんです。ピッチには立てないけど、喜んでもらうという意味では、プレーしているときと一緒だなと」
「とうもろこしのスピード感がたまらない」
ただ農業は初めて。開墾が必要で農機具もないため、クラウドファンディングで240万円を集めた。
栽培したのはとうもろこし。標高500メートルの高原は昼は暑く夜は寒いので、その寒暖差で甘くなる。
「それと、手のひらぐらいの苗が3カ月で175センチの自分の背丈より大きくなるんです。そのスピード感がたまらなくて」
[2/4ページ]



