中日“極貧打線”問題 本拠地を狭くするだけで解決できるとは…石川昂弥、ブライト健太らの“覚醒期待”も「本当にやるべきこと」は別にあり?

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とはいえ、新戦力の補強は必須か

 ただ、細かく見ていくと、本拠地が狭くなった以外の要素が大きいこともよく分かる。2019年のロッテは、前年まで日本ハムでプレーしていたレアードが加入し、チームトップとなる32本塁打を記録した。これに加えて、新外国人のマーティンも14本塁打を放った。

 ソフトバンクも2017年にロッテからデスパイネが移籍し、いきなり35本塁打を放つ活躍を見せた。狭くなった本拠地の利点を最大化させる補強を実行することで、さらなる得点力のアップに成功したといえるだろう。

 中日の長打力不足が課題と言われているのは、決してここ数年のことだけではない。それにもかかわらず、それを解消できないのは有効な補強ができていないからだ。

 近年では、巨人から中田翔を獲得したが、高額年俸(推定年俸3億円)に見合うだけの働きを見せることは全くできていない。守り勝つイメージの強かった落合博満監督時代も、ウッズや和田一浩、ブランコといった長距離砲を獲得していなければ、黄金期は築くことはできなかったかもしれない。

 ホームランウイングの設置は、大きな前進かもしれないが、それだけで勝てるほど簡単な話ではないはずだ。過去のソフトバンク、ロッテの事例を見ても、これを機に補強戦略を今一度、見直すことは必要不可欠と言えそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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