“悪の帝国”「ドジャース」の“金満補強”に「待った」をかけるか…MLBで「サラリーキャップ制」導入問題が再燃した理由

スポーツ 野球

  • ブックマーク

また噴出したサラリーキャップ制度

 現地時間5月20日のフィリーズ戦にも敗れ、コロラド・ロッキーズはメジャーリーグ30球団で最速での40敗に到達した。まだ、48試合目である。この調子で行けば、シーズン135敗にも到達する計算だ。勝率1割6分7厘。チーム防御率5.88も30球団ワーストで、チーム打率2割1分7厘は29位。投打ともに危機的状況にあるが、ロッキーズは2019年以降、勝率5割を超えたことが一度もないのだ。

「昨季はシーズン101敗で、一昨年は103敗でした。夏が近づくにつれ、下位に低迷したチームが来年以降を見据え、レギュラークラスの選手を放出してその見返りに若手選手をもらう『フラッグディール・トレード』への動きが活発になってきます。ロッキーズは売り手チームの常連なので、好選手が少なくなってきました。その数少ない好選手のなかで標的にされているのが、三塁手のライアン・マクマーン(30)です。昨季、4年連続20本塁打強を達成しており、とくにドジャースはレギュラー三塁手のマックス・マンシー(34)が不振なので要注意です」(米国人ライター)

 11日のパドレス戦後、バド・ブラック監督(67)とマイク・レドモンドコーチ(54)の解任も発表された。シーズン序盤での指揮官解任はメジャーリーグでは珍しくないが、ベンチコーチとの“ダブル解任”は異例なこと。フラッグディール・トレードで一人でも多くのトッププロスペクト(有望な若手選手)をもらってチームを再建させるべきだが、ロッキーズはドジャースとだけは交渉を進めたくないようだ。

「ドジャース、ロッキーズはともにナ・リーグ西地区のチームですが、全5チーム中、勝率5割割れはロッキーズだけ」(地元メディア関係者)

 ドジャースとの交渉を避ける理由は、同じナ・リーグ西地区のチーム同士だからではない。ロッキーズのオーナー、ディック・モンフォート氏(65)はシーズン開幕前に近年のドジャースの大型補強を猛烈に批判し、かつルール変更も求めていた。

「潤沢なドジャースの資金とその強引な補強を指しての批判です。弱小チームとの不平等をなくすため、選手年俸に上限を設けるサラリーキャップ制を再検討すべきだと主張しています」(前出・米国人ライター)

 これが、単なるやっかみでは終わりそうにないというのである。

次ページ:MLB主導で導入?

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。