大記録まであと2勝が遠い「田中将大」を“たかが2勝”と侮れない理由…「200勝」&「2000安打」達成目前で力尽きた“先輩”たちを振り返る

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 巨人・田中将大が日米通算200勝まであと2勝に迫りながら、足踏みが続いている。その一方で、楽天・浅村栄斗の通算2000安打達成が、5月18日時点であと2本と秒読み段階に入った。だが、過去には名球会入りの条件となる200勝、2000安打目前で力尽きた男たちも少なくない。【久保田龍雄/ライター】

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妻に「勝ち星より体が大切」と説得され引退を決意

 通算200勝まであと9勝で涙をのんだのが、ヤクルトのエース・松岡弘である。1978年に16勝を挙げて、球団の創設29年目の優勝、日本一の立役者となった右腕は、83年までに通算190勝を記録し、大台まであと10勝に迫った。83年も11勝を挙げており、早ければ翌84年中にも史上20人目の快挙を実現するかに思われた。

 ところが、大目標を目前にしながら、首を痛め、「投げるたびに首筋に激痛が走る」苦闘の日々が続く。84年は6月13日の阪神戦で3失点完投し、191勝目を挙げたものの、1勝5敗でシーズンを終えた。

 翌85年も開幕3戦目、4月16日の広島戦で先発も、1死も取れず初回にKO。同29日の巨人戦では、同点の8回2死からリリーフしたが、原辰徳、中畑清に連続被弾し、それまで相性の良かった原に打たれたことで、「もう、あれで力が尽きたと思った」(週刊ベースボール11月11日号)と自らの衰えを悟った。

 2軍調整中の6月に背中を痛めるアクシデントもあり、約4ヵ月のブランクを経て、9月3日の大洋戦で先発したが、3回途中2失点で降板。同18日の広島戦も1回途中3失点と結果を出せない。試合後、夫人に「勝ち星より体が大切」と言われ、ついに引退を決意した。

 現役最後の登板となった10月23日の大洋戦、6回4失点でマウンドを降りた松岡は「あと9勝残して引退は残念だが、力の世界、仕方ないよ」と語っている。

 ちなみに現役最後の2年間苦しみつづけた首の痛みは、緊張で頸椎の神経が圧迫されていたことが原因で、引退後、緊張から解放された途端、すぐに治ったという。

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