「ファンと恋愛」はタブーから好感度上昇装置へ? 犬飼貴丈との交際報道の指原莉乃が見せた戦略性

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女性芸能人にとって単なる恋愛以上の意味を持つ「ファンとの恋愛」 指原さんへの応援コメントの多さに見る再浮上の兆し

 こうして見ると、「ファンとの恋愛」は、女性芸能人にとって単なる恋愛以上の意味を持つ。特に女性タレントにとっては、世間からの好感度や「共感される物語」の構築が、人気の持続や再浮上のカギとなる。

 元アイドルという属性を持つ女性たちは、恋愛において「選びたい放題の恋愛強者」であることが、時として反感を招くこともある。しかし、相手がかつてのファンであれば、「夢がかなった」「長年の思いが実った」というロマンチックな物語が成立しやすく、ファンや世間も納得しやすい。

 さらに、ファンとしての愛情を一貫して捧げられてきた相手を選ぶことで、「男性を見る目がある」というイメージや、「誠実で一途な恋愛を重視する」という価値観が浮き彫りになる。これは、過去のスキャンダルで傷ついたイメージを回復し、むしろ好感を得る好材料になるといえるだろう。

 そしてイメージが低迷しつつある時期であればあるほど、その効果は大きい。落ち目という言葉は無粋かもしれないが、芸能界では「旬の終わり」と見なされた瞬間から、タレントの価値は冷酷なまでに下落していく。そんな中で、指原さんのような知名度のあるタレントが、「自身のファンと真剣交際」という文脈を選んだことには、偶然以上の意味があるのではないだろうか。

 実際にこの報道後、SNSでは「お似合い」「長く続いてほしい」といった好意的なコメントが相次ぎ、一時的にせよ「再び注目される存在」として指原さんは脚光を浴びた。彼女のインスタでは、報道1時間前に自身のカラコンやプロデュース楽曲を売り込む投稿があり、「さすがさっしー、ビジネスセンス抜群」と別の意味でも評価の声が上がっている。

 もちろん、すべての恋が計算ずくではないだろう。だが、芸能人である以上、恋愛一つとっても世間からの評価と直結する宿命を背負っているのは確かだ。

 恋愛を経て株が下がる者もいれば、逆にそれを武器にして高騰するケースもある。元ファンとの恋愛という「分かりやすく、世間の共感を呼ぶ物語」をまとうことで、指原さんはまた一つ、芸能界という「愛と打算のステージ」を生き抜く武器を手にしたのかもしれない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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