石破総理はなぜ「消費減税」に踏み切らなかったのか 参院選情勢分析で出た“意外すぎる結果”、若手時代に脳裏に刻んだ“原風景”とは
「負け幅」をいかに縮めるか
しかし、中身とは無関係である。この交渉は性質上、トータルで日本に有利な内容で終えるのは事実上困難であり、「負け幅」をいかに縮めるかという厳しいものだ。90日目が参院選直前に来るため、内容だけでなく、延長を含めたスケジュールも重要なポイントとなる。石破首相の訪米のタイミングも焦点だ。2月の訪米による日米首脳会談は成功と評され、一時的にしろ内閣支持率は上向いている。
参院選後の石破政権の帰趨を左右するのは、直接的にはもちろん勝敗だ。壊滅的惨敗なら、退陣表明し、直後に総裁選というシナリオも否定できない。その場合に、自公が政権維持を図ろうとすれば連立の拡大が不可避である。しかし、石破政権が参院選を切り抜けたとしても、連立拡大は秋以降の大きなテーマとなる。内閣不信任決議案を必ず否決できる安定性を取り戻すには、衆院で過半数を回復するしかないためだ。つまりは「脱少数与党」ということである。
予算成立への試行錯誤
今春の本年度予算成立に際しては、自公は国民民主、維新と政策協議を重ねた。最終的には所得制限なき高校無償化と引き換えに、維新から予算案への賛成を得た。しかし、この無償化は自民支持者には不人気であり、禍根を残すこととなった。
また、国民民主とは年収の壁やガソリン税で協議したが、予算案への同意は取り付けられず、両者の関係は険悪となった。つまり、今春の予算成立への試行錯誤の過程で、石破政権は連立を組まない「個別政策協議路線」の限界も知ったのである。「このようなことをずっと続けるのは大変」(幹部)というわけだ。
連立拡大のパターンは、いわゆる自公プラス1党か、それとも、いわゆる大連立なのか。それも石破総裁の下なのか、そうでないのかなども影響し、組み合わせはあまたある。政党、会派内の離合集散も伴うだろう。もちろん野党による非自民連立内閣も否定できない。参院選の前哨戦と位置付けられる東京都議選が6月中旬に告示となる。このあたりから、多くのことについて選択肢が次第に絞り込まれてゆき、それぞれの解像度が上がってくるのではないだろうか。
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