70歳・高橋惠子、超過密スケジュール…すでに舞台3本出演 7月には最新映画「出させてって夫に直訴」
撮影は1日13時間以内に制限
今回は別居することはなかったそうだが、「桐島です」では別の話題が報じられた。伴明監督が脚本家の梶原阿貴氏に「(脚本を)5日で書け」と無茶ぶりしたという。後日、梶原氏からは「惠子さんも『書けるわよね』って仰ってました」とバラされてしまい苦笑いしたという。
「梶原さんは、わたしが(無理を言う監督を)止めてくれると思っていたのに、『フォローがない』って思われてしまったのでしょうね。でも、きちんと全部下調べをしていて、見事に台本を仕上げられて、すばらしいと思いました」
昨今は、仕事の受発注でも、ハラスメントとされかねない。とりわけ映画の撮影現場では、かつては、早朝から深夜まで続くのが当たり前、徹夜という話も少なくなかった。
日本の場合、上下関係からのハラスメントや、いわゆる男社会で撮影後に酒を酌み交わすような「豪快」エピソードが語られてきた。そもそも出演者は野外ロケや強い照明を当てられる中での演技となり、体力的にも厳しい条件下に置かれている。
ようやく近年、撮影時間は1日8時間までと定めるフランスや韓国などに近づきつつある。日本でも労働環境改善への取り組みが進められ、労働時間の管理や休憩時間の確保が重要視されているのだ。
スタッフやキャストの健康を守るために、撮影スケジュールを1日13時間以内に制限するガイドラインを、日本映画制作適正化機構は出している。こうした変遷をどのように見ているのか。
「良い面と良くない面の、両方ありますね」と、高橋はこんな持論を語ってくれた。
「芸能界だけのことではないでしょうけど、やはり男性社会で、男性が仕切り、男性目線で進められていて、映画の場合、描かれる女性像も男性から見た理想像のものが多かった気がします。昔、撮影現場には女性は1人いればいいほうで、衣装さんやメイクさんも男性だったりしました。
ある現場では、編集の助手に1人女性がいて、とても珍しいと思ったことを覚えています。そういう点は本当に変わりました。男女半分まではいかないまでも、雑誌の記者も男性がほとんどだったのが、いろんなところで女性の姿を普通に見るようになった。働き方という意味でも、女性の意見が取り入れられるようになったのは良いことだと思います」
そして、こう続けた。
「ただ、時間の規制はどうでしょうか、何時から何時までと区切ることも大切だとは思うのですが、本当にそんな四角四面なやり方でいいのかなと思うことはあります。映画の現場は、ものづくりの現場ですから、職人気質といいますか、今、すごくノッているから、この感じで続けたいというときもあります。いいシーンが撮れそうだから、続けたい。でも、そういうときでも『時間です』って区切られてしまうと、どうしてだろうなあって思ってしまうことも時々あるのです。
ものをつくる共同作業の現場では、いろんな意見を交換し合ったり、それを調整したりする人も必要だと思っています。日本では思いやりや察する心があり、そこまで権利を主張し合わなくても、うまくいっていた面もあるような気がするんですよ。
たしかに(日本流で)あまりに酷かった面もあり、こき使われると思われるようなところは考えなければならないけど、がんばって皆でいいものをつくりあげた達成感を削がれてしまっては……とも思うんです。芸術的なものに杓子定規をあてるばかりではなく、決められたものでも(変更し)越えていかなければならない時があり、それは課題ではないかと思っています」
高橋は時間エンドレスの労働環境のなかで女優を続けて来た当事者でもある。
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第2回【40年前に「逃避行」スキャンダルも揺らがず SNS時代に70歳・高橋惠子「今を生きる」ブレない矜持】では、今も第一線で走り続ける矜持を語る。


















