「トランプ・ショックはむしろチャンスだ」…「高市早苗」議員インタビュー 高関税要求は“令和の黒船”「日本に富を呼び込むきっかけに」
食料、エネルギー、医療、サイバー、国土強靭化…すべて安全保障
――トランプ関税の影響を緩和する国内対策が大きな課題だ。
昨年の自民党総裁選では、「食料安全保障の確立」、「エネルギー・資源安全保障の強化」、「健康医療安全保障の構築」、「サイバーセキュリティ対策の強化」、「現在と未来の命を守る令和の国土強靭化対策」、「成長投資と人材力の強化」を、主要な公約とした。
ちょうど本年度末で「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が終わる。命を守るための重要な対策であり、企業立地競争力の強化を考えても、防災科学の知見や気候リスク管理も含めた後継計画が不可欠だ。特に送電や水は非常に重要で、途絶えさえてはならない。また、これらの取り組みが経済成長に資するのは言うまでもないことだ。
同盟国から見て、安全保障面で日本が最も弱いと指摘されるのはサイバーセキュリティだ。日米同盟にとどまらず、日米とオーストラリア、インドとの共同演習など準同盟的な国が増えている。戦闘機を共同開発している英国やイタリアも含め、サイバーセキュリティの弱い国と情報共有することは非常にリスクがある。国防、経済成長の両面で、サイバーセキュリティの強化は非常に大事だと考えている。
総裁選では前々回、前回とも公約はほぼ同じ。そんなに間違ったことは言っていないと思っている。私は能動的サイバー防御の必要性を平成31年から政府に提言してきたが、ようやく今国会で能動的サイバー防御関連法が成立する見通しとなった。7年かかったことになる。
大統領令で行われた関税率変更
――米国による今回の関税率変更の手続きをどう見るか。
日本国憲法は第84条で租税法律主義を定めている。よって、関税も国会で成立させた「関税定率法」、「関税暫定措置法」によって定められている。他国との協定などで税率を変えるときも、国際協定は国会の承認が必要となる。緊急関税制度については閣議決定事項である政令だが、何を閣議決定事項にできるかということは法律に根拠を持っている。また、閣議決定する場合は、政府がきちんと各党に根回しを行うので、いずれも国会が関与する形となる。
米国でも基本的には議会が関与する仕組みになっているにもかかわらず、今回の措置は「国際緊急経済権限法」を根拠とする大統領令で行われた。私が理解している限りでは、同法は本来、イランや北朝鮮などに対応するものだ。それに米国はこれまで大統領令だけで、世界中に向けて関税率を変更してきたわけではなかったと思う。
【後編】では、今永田町で最もホットなテーマである「消費減税」について、注目の主張を展開している。
[3/3ページ]

