“靖国神社は閉店すべき” 過激ポストを繰り返す中国人男性「徐浩予氏」が熱海市長を目指す理由 「選挙に出ることは問題ありません!」

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仕事が行き詰まり日本留学

 5月上旬のとある日、東海道新幹線の熱海駅前に、待ち合わせていた男性がやって来た。乗ってきた高級車には大きく自分の公式サイトのURLが書いてある。

「初めまして! 徐(じょ)です」

 来年9月に実施予定の熱海市長選への出馬を表明している徐浩予(こうよ)氏(32)だ。中国出身で、10年前に来日。一昨年12月に市長選に出ることを宣言したが、目下、保守系の団体などが反発して騒ぎになっている。徐氏がSNSで〈靖国神社は閉店すべきだと思います〉などと発信したからだ。それにしても、なぜ熱海に住み、市長になりたいのだろうか。

「私は内モンゴル自治区出身です。子供の頃から川端康成の『伊豆の踊子』や夏目漱石を愛読していて日本文化が好きでした。また、日本のアニメや漫画も身近で、親しみがあった」

 日本行きを決断したのは大学時代。

「中国では学業と並行して金融の仕事をしていました。松下幸之助のような経営者になるのが夢だったのです。ところが仕事が行き詰まってしまい、それをきっかけに留学を決めました」

熱海で民泊ビジネス

 東京・高田馬場駅の近くにある日本語学校に入学するが、授業についてゆけずにリタイア。中国人観光客を相手にしたビジネスを始めたものの、そこへコロナ禍が襲う。鬱々(うつうつ)としていた徐氏が熱海を訪れたのは2021年のこと。『伊豆の踊子』の舞台からそれほど遠くない街をすっかり気に入り、民泊ビジネスの起業を決意する。

「ところが引っ越して1週間後に、あの土石流災害が起き、民泊のために買った家も被災してしまいました。でも、土石流が襲ってきたとき、たまたま買い物に出かけていて難を逃れた。私は運が良かったのです」

 避難所生活を余儀なくされた徐氏は、地元の老人会や市議らと交流するうち問題意識を抱くようになる。

「熱海は駅前こそにぎわっています。でも、観光以外の産業はなく、ホテルの従業員も多くが市外に住んでいる。少子高齢化のスピードは他より速い。市長になったら市立大学の新設などで、若者や高度人材を呼び込みたいのです」

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