「ルーズソックス」再流行のウラで…ブームの仕掛け人は“アンティークストッキング収集家”になっていた! 「またはやっても驚きはない」

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ピーク時の売り上げは10億円

 高くても1000円台で買えるこの靴下で、ピーク時には10億円を売り上げたというから、さぞや笑いが止まらなかったろう。

「いえ、ブームというのは必ず終わりが来ます。そう長くは続きません。流行語大賞に選出された年、ここがピークだと確信しました。なので、翌年には大幅に減産したんです」

 無論、誰もが鴇田氏のように流行の終焉(しゅうえん)を予見できたわけではない。

「“作り過ぎて在庫が大量に残って困ってる”という声は、いくつもの会社から聞きました。ブームの頂点ではまだまだイケると思うもの。でもそこで調子に乗ると痛い目に遭います」

 鴇田氏の会社に残されていた“最後の在庫”は、意外な売れ方をしたという。

「ルーズソックスがトレードマークの女子プロレスラーがいてね。彼女がちょっとセクシーな写真集を出すことになり、特典でルーズソックスを付けるというので、1000足ぐらいの注文を受けた。本人がはいたような使い古した感じがあるといいからって、新品ではなく1回洗濯してね。98年のことです。それで在庫は空っぽになりました」

「またはやっても驚きはない」

 鴇田氏が創業したブロンドールはその後、2003年に大手靴下メーカー「岡本」のグループ企業となり、現在は同社の一ブランドとして存続。氏自身は08年に経営から退き、長野県上田市に移り住んだ。今は“アンティークストッキング収集研究家”を名乗り、英国のストッキング編機発明者の過去をたどるというディープな研究にいそしむ毎日だ。

「最近、ルーズソックスが再ブームになっているから出てくれと、テレビから取材依頼が複数来たのですが、自分の目で(現象を)見たわけではないのでお断りしています。ブームは必ず繰り返すので、またはやっても驚きはないですね」

 ルーズソックスの折り重なるたるみさながら幾重にも繰り返すブームを、時代に画期をもたらした張本人は達観の境地で眺めていた。

週刊新潮 2025年5月1・8日号掲載

ワイド特集「天国と地獄」より

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