いっしょに食事をしても記憶に残らなかったのに…“14年ぶりの再会”から「交際ゼロ日婚」と相成ったワケは? 馬でつながった二人の結婚秘話

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引かれ合う二人

 この間、打ち解けてすっかり時を取り戻した二人。引かれ合う気持ちも強まった。競走馬オーナーとも親しい彼に、彼女の乗馬クラブ仲間が「茉莉亜が担当する馬術競技馬を提供してくれるオーナーはいませんか」と問い合わせていて、崇文さんとしても「彼女のために何かできることはないか」と思案していた。

 速さだけでなく、常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駈歩(かけあし)や停止ができるよう馴致される馬術用の馬。その再調教を、彼は撮影の打ち上げの場で「北海道のうちの牧場でやったら」と彼女に提案した。近年の関東は馬にとって暑過ぎると感じていた彼女は、自身が熱中症になることも多く、北海道の地に魅力を感じた。

 が、乗馬クラブに勤めてまだ数カ月。「すぐには行けないなあ」と思い悩んだ。

交際宣言もないままプロポーズ

 ここで、普段はニコニコと物静かな崇文さんの行動は早かった。冬でも再調教できる屋根付き馬場を造り、彼女を受け入れる準備を進めた。好き合う気持ちは分かっていたが、交際宣言もないまま彼はプロポーズを決断。彼女の誕生日前日の8月20日、札幌の夜景が見渡せる幌見峠で……ともくろんだが、あいにくの天気予報。

 そこで19日、ポケットに忍ばせた指輪を取り出して「結婚してくれる?」。寝る寸前だった彼女は「え、なんで今?」と思わず声に出したが「お願いします」。

 入籍直前、馬術用の馬の生産が盛んなドイツ、オランダ、ベルギーを二人で訪れ、2日間で2000キロを走破。実際に馬も買った。

 引退馬の余生を見守る牧場として「数多くの引退馬を預かり、共生しながら収益化・事業化できる牧場の一番でありたい」と考える崇文さん。茉莉亜さんは彼をサポートしつつ、新たに再調教するドーブネ号、クリノガウディー号を馬術の「引退競走馬杯王者」に導くのが目標だ。来年の名古屋アジア大会の代表入りと金メダル獲得も思い描く。

 大自然の中、動物たちと触れ合える子育ての実現も、もちろん視野に入っている。

週刊新潮 2025年5月1・8日号掲載

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