巨額の赤字が話題のNHKがガラリと変わる!? 来年の新会長と政界 歴代会長の“功罪”
会長には政治色アリ
政界とNHKがともに動き出す。稲葉延雄・NHK会長(74)の任期が来年1月に切れるからだ。同局の2025年度予算が巨額の赤字になることが話題になったが、こちらのほうが大きなテーマだ。NHKがガラリと変わりかねない。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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NHKの会長は元アサヒビール会長の故福地茂雄氏が2008年1月に就任して以来、6人連続で外部の人材が起用された。
濃淡の差はあるが、政治色が全くない会長はいない。現在の稲葉会長は岸田文雄前首相(67)と近い。岸田氏が会長を務めていた派閥「宏池会」の先輩・故宮沢喜一元首相が、優秀な日銀マン・稲葉氏に注目したのが始まりだった。
稲葉氏は岸田氏の従兄弟である宮沢洋一・自民党税制調査会長(75)と東京教育大(現筑波大)付属中高の同級生でもあった。2人は旧友である。優れているうえ、身近な稲葉氏は岸田氏にとって願ってもない人材だっただろう。
NHKの赤字が大きな問題でないのは折り込み済みのことだったから。2021年度の段階で2026年度まで赤字になることは決まっていた。赤字の理由は2023年10月に受信料を1割下げたから。赤字は来年度まで続く。
赤字を理由に新しい徴収ルールが導入されるといった話はない。
実現の可能性が高いのは受信料の支払いの義務化だ。早い時期に義務化されても不思議ではない。現在の受信料支払率は約80%。これが限りなく100%に近づく。
支払いの義務化が具体化したのは2007年。当時の総務相で、今では総務族のドンである菅義偉元首相(76)が、義務化に向けて突っ走った。実現まであと一歩だった。この動き以来、義務化案はたびたび浮上している。
ただし義務化によって受信料収入が大幅に増えるかというと、それは未知数。義務化を機に契約を解消してしまう世帯が相当でると見られるからだ。
現時点でNHKの契約者数はかなり減っている。2019年度末には約4212万件あった契約が、2024年度末には約4031万件になってしまった。
単純計算すると、5年でマイナス181万件。テレビを捨ててしまう人が珍しくない時代なのだ。だから支払いの義務化が裏目に出る可能性がある。
受信料は衛星契約が月1950円、地上契約が月1100円。一方、ネットフリックスの最も安いプランは月890円、U-NEXTは月2189円だ。今後、NHKか動画かで迷う人が増えていくだろう。動画を選ぶのなら、テレビを捨てて、ネット回線につながるモニターを導入すればいい。
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