自らの不倫が引き金となった“一家の無間地獄” 作家・島尾敏雄が『死の棘』で描いた夫婦の修羅はどのような結末を迎えたか
SNS上では今、自身の配偶者を奪った不倫相手の個人情報などを投稿する「さらし行為」が問題になっている。SNSを使った“復讐”は現代ならではだが、不倫された側の怒りや苦しみは今も昔も変わらない。1917(大正6)年生まれの作家・島尾敏雄は不倫した側となり、心のバランスを失った妻・ミホから激しい怒りをぶつけられた。そんな日々を冷静に綴った私小説『死の棘』はミホの入院で終わる。その後の2人はどうなったのだろうか。
(「新潮45」2006年4月号特集「明治・大正・昭和 13の有名夫婦『怪』事件簿」より「島尾敏雄・ミホ『小説家を追い詰めた「死の棘」な日々』」をもとに再構成しました。...