2026年W杯を“39歳”で迎える「長友佑都」は代表に必要な選手か? 「岡田」「トルシエ」「ジーコ」歴代監督を最後まで悩ませた“ベテラン起用”の成否

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 第1回【「長友佑都」5回目のW杯出場なるか 大ベテランが「森保ジャパン」に招集されたきっかけは宿敵に喫した「悪夢の敗戦」】からの続き──。カタールW杯後に「現役を終える」と思っていた長友佑都に招集の声がかかったのは、2024年3月21日のW杯アジア2次予選、ホームでの北朝鮮戦だった。(全2回の第2回)【六川亨/サッカージャーナリスト】

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 宿敵・イランに敗れたカタールでのアジア杯直後に、長友佑都は久々の代表復帰を果たした。だが、W杯アジア最終予選では今年3月のホームでのサウジアラビア戦まで計8試合がありながら、一度もベンチ入りすら果たしていない。

 それでも練習ではランニングの先頭に立ってチームに活気を与え、W杯出場を決めたバーレーン戦後は遠藤航から試合を締める言葉を託されるなど、その存在感は際立っていた。

 では、北中米W杯で長友がメンバー入りしたとしてピッチに立つ可能性はというと、ほとんどゼロに近いのではないだろうか。

 それでも長友は、日本がW杯で勝ち進むためには必要な選手だと思う。

 その理由は過去の日本代表が実証しているからに他ならない。

 日本代表にとって初めての出場となった98年フランスW杯は、何もかもが手探り状態だったため3戦全敗に終わった。

 しかしながらアルゼンチン戦、クロアチア戦では失点を最小限に抑え、ジャマイカ戦でW杯初ゴールを奪ったことは記念すべきことである。

 岡田武史監督はフランスW杯直前のメンバー発表で、三浦知良と北澤豪を外す大英断を下した。それが結果的にどのような影響を及ぼしたのか、いまでも検証する手立てはない。

トルシエ監督が最後に重視した「和」

 4年後の日韓W杯でフィリップ・トルシエ監督がメンバー発表を行った時は、どよめきが起こった。エースナンバーである背番号「10」を背負う中村俊輔がメンバー外となったからだ。

 トルシエ監督は最後まで中村をメンバーに加えるかどうか悩んだことだろう。チームには中田英寿、小野伸二という司令塔もいる。彼らとの共存ができれば日本の攻撃力はアップする。

 しかし中村は、ベンチスタートとなると不機嫌さを隠すことができなかった。若かったとも言えるが、これではチームの和を乱しかねない。

 外国人監督として、フランス人として、エキセントリックな言動や行動の多かったトルシエ監督が、最後の最後に「チームの和」を重視したのは正直、意外だった。

 そしてベテランFWの中山雅史はロシア戦で18分間プレーし、同じくベテランDFの秋田豊は一度もピッチに立つことはなく初めてのW杯を終えた。

 しかし、誰もが試合に出たいと憧れる母国でのW杯出場に、ベテラン2人は黙々と黒子役に徹してチームを支え、それまで開催国のノルマだったベスト16進出に貢献した。

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