ついに「魚雷バット」が日本上陸…“投高打低”対策の切り札に浮上した「意外な弱点」とは
スピード導入されたが…
メジャーリーグで話題の魚雷バットは日本プロ野球界に定着するのか――。
公式戦で初めて使ったのは、埼玉西武ライオンズの源田壮亮(32)だった。4月18日の福岡ソフトバンク戦で“お披露目”されたが、飛距離アップの効用は見られず、平凡な三塁ゴロに終わった。
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「第2打席では従来のバットに戻していました」(スポーツ紙記者)
試合後の源田は「練習中に振ってみたら感触が良かったので、試合で使ってみましたが、今日が初めてだったので、まずは1打席だけと決めていました」と、“試し打ち”であったことを説明していた。
魚雷バット(torpedo bat)は、標準的なバットよりも先端が細く、ボールを捉える芯の部分が太くなっており、その形状から名付けられた。その新アイテムを積極的に導入したニューヨークヤンキースが現地時間3月29日のブリュワーズ戦で20-9と大勝。3者連続初球打ち本塁打を含む9ホーマーを放ち、注目を集めた。
「考案者は昨季までヤンキースの主任アナリストを務めていたアーロン・リーンハート氏です。現在の肩書きはマーリンズのフィールドコーディネーターですが、物理学の博士号を取得しており、野球界に関わるまではミシガン大学の教授として教鞭を振るっていました。魚雷バットの考案者として、4月上旬は『The Athletic』などスポーツメディアの取材もたくさん受けています」(米国人ライター)
日本野球機構(NPB)も4月7日に開かれた12球団実行委員会で魚雷バットを取り上げ、12日の規則委員会でも公認野球規則上の問題がないことを確認。公式戦での使用も許可された。日米ともに“スピード導入”となったわけだ。
「2~3年前から何種類かの変則バットが、お試しでMLB各球団の練習で使われていたんです。ウィンターリーグの会場ホテルの一角に新しいトレーニング機器や野球用具を紹介するコーナーも設けられていて、魚雷バットも紹介されていました。ヤンキースに限ってはリーンハート氏への信頼もあったと思います」(前出・同)
リーンハート氏は「The Athletic」のインタビューでこうも語っていた。
「通常のスイートスポットは、バットの先端から6インチか7インチ下の位置だと分かったんだ。普通なら先端に集める木材の量と、スイートスポットに入れる木材の量を入れ替えたらどうかと提案したんだ。選手とのそんな話し合いが始まったのは、彼らが投手のレベルが高まったことに不満を覚えていたからだ」
投手のレベルが上がり、それにどう対抗していくかが検討されていた。
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