ついに「魚雷バット」が日本上陸…“投高打低”対策の切り札に浮上した「意外な弱点」とは

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野球の醍醐味はホームラン?

 打撃成績の向上は「最終的には選手の努力」とも話していたが、メジャーリーグでは「野球の醍醐味はホームラン」と捉えられている。特にオーナーや経営スタッフにそういった考え方が強く、理想は98年のマーク・マグワイア氏(61)とサミー・ソーサ氏(56)による“異次元のホームランキング・レース”が繰り広げられたペナントレースだという。

 後年、ソーサがコルク材の入った違反バットの使用が発覚し、98年に記録したシーズン66本塁打にも疑惑の目が向けられたが、近年の傾向である「投高打低」の打破に対策を講じなければならないと思っているのはNPBも同じだ。

「日本の各球団で魚雷バットの話が聞かれるようになったのは、ペナントレースが始まってからです。選手たちは興味こそ示しましたが、すぐに切り替えることはしないと思います。契約しているメーカーとの兼ね合いもありますし、バットの形態を変えたら、前年オフから積み上げてきた練習が全て無駄になってしまう。NPBが試合での使用を承認しているバット製造のスポーツメーカーも、まだ魚雷バットの量産体制に入っていません。魚雷に切り替える選手が多く出るとしたら、25年オフを過ごした後になると思います」(NPB関係者)

 だが、同時に魚雷バットが投高打低の現状を変える“救世主”にならないとの悲観的な声も聞かれた。その根拠は、前述の西武・源田の試し打ちにある。源田が魚雷バットで捉えようとしたのは、ソフトバンク・有原航平(32)の外角球。低めのツーシームで、魚雷バットは先端部分が細くなっている分、外角球を捌くのが難しくなる。飛距離は出るのかもしれないが、形態上の弱点もあるとも解釈されているようだ。

「ヤンキースは開幕6試合で22本とホームランを量産しました。魚雷バットの愛用者となったジャズ・チザムJr.(27)も開幕3試合で3本塁打を放ちましたが、その後、勢いが止まりました。チザムJr.は外角球に苦しみ、4月13日からの一週間、ホームランなしでした」(前出・米国人ライター)

 元巨人監督の高橋由伸氏は日本テレビの企画で魚雷バットの試し打ちを体験した。「ちょっと詰まっても打球が飛ぶ感じはする。バットコントロールがしやすくなるので、ボールコンパクト率は上がると思う」と語っていたが、やはり外角球を長打にする難しさも口にしていた。

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