「キャビアや大トロなどは課税とすべき」 消費減税の問題点を専門家が指摘 「消費税を下げるのは間違った発想」

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【前後編の後編/前編からの続き】

 補正予算案を断念して追い詰められた石破茂首相(68)が今、平成元年に導入されて以来、一度も実行されたことのない「消費税減税」に手をつけようとしている。国の財政に大きな影響を及ぼす、減税という“禁断の果実”を巡ってうごめく政界の内幕をリポートする。

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 前編【消費減税で「日本の信頼がなくなる」 自民党内部でも分裂が 一方、賛成派は「トランプとディールがしやすくなる」】では、消費減税を巡る自民党内の対立や、各党の動向について紹介した。

 全体としては消費減税に向かう趨勢といえるが、仮に実現するにしても、今しばらく時間がかかりそうだという。

「消費減税は税制改正を伴い、ある程度審議に時間を費やさねばならず、秋の臨時国会での成立を目指すことになるでしょう。その上で、レジシステムの変更など事務手続きのためにも、周知期間を経なければなりません。最短でも来春からの実施になるでしょう」(政治部デスク)

「1%下げると、3兆円の税収減」

 だがしかし、問題は財源だろう。

 第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が言う。

「消費税は一律で1%下げると、3兆円の税収減になります。国民民主党や共産党が主張する一律5%への引き下げ案では、減収額は14兆円と試算されます。1年目の実質GDP押し上げ効果は約6.2兆円で+1.0%程度です。家庭単位では年間約13万2000円の負担減が見込めます。ただし、14兆円の財源をどう確保するのか。国債に頼ることになると思いますが、+1.5ポイント近いインフレ率が持続しないと、政府の債務残高の対GDP比が悪化してしまいます」

 では、維新及び立民の一部が提案している、食料品の軽減税率を8%から0%にする案だとどうか。

「食料品に限って1%税率を下げると、約0.6兆円の税収減です。つまり減収額は約5兆円。1年目の実質GDPの押し上げ効果は約2.2兆円で+0.4%程度です。家庭単位で年間約7万5000円の負担減が見込めます」(同)

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