「3億円事件以来の見事な知能犯」との声も…破綻銀行から白昼堂々と「1億円」を盗み出した平成の「連続詐欺・窃盗」事件
逮捕直前にも警備員に扮して500万円
それにしても、そんな騙せるものなのか、と不思議に思うほどの“戦歴”。1999年10月から東京や大阪、名古屋のデパートなどで犯行を重ね、逮捕直前の2001年11月23日にも、オープン2日目だった大阪の大型商業施設で警備員に扮し、売り上げ金約500万円を盗んでいたというから恐れ入る。
男には洞察力があったようで、この大阪の事件ではオープン当日に入念な下見を行い、警備員がレジから売り上げを回収していることに目を付けた。よく似た制服と顔写真入りの名札を用意し、翌日の午後に早速決行。レジの店員を信用させたのは、いかにも警備員風な盗難注意の声掛けだった。下見、衣装、小道具、知った風のキーワードと言葉に落ち着いた態度を加え、相手を短時間で信じ込ませて素早く盗むという手口が基本のようだ。
2002年8月30日の判決公判では、「まれに見る規模の連続詐欺、窃盗」として懲役11年の判決が下った。裁判官は「身分を変化自在に操り、被害者の心理の隙をつき、手玉に取った。驚くべき嗅覚で事件を重ね悪質」とも断じたが、どこか誉め言葉が混じっているように聞こえてしまうほどの“才能”であった。
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