巨人3軍落ち「浅野翔吾」はもっと自然体に構えよ、キャベッジと甲斐はボール球に手を出すな【柴田勲のコラム】

  • ブックマーク

投球の生命線はあくまでも制球力

 確かにいまの投手は多彩な球を操る。真っすぐを基本にチェンジアップ、カットボール、スライダー、ツーシーム、フォーク…7~8の球種を持つ投手もいる。

 現在の指導方法は、真っすぐで150キロが出たぞ、スライダーの曲がりがいい、フォークがよく落ちた。こんなところに着目しているのではないか。

 私の時代は制球力重視だった。昔といまの時代は違うと言うかもしれない。だが、投球の生命線はあくまでも制球力だ。内角低め、外角低めにズバリと決める制球力があってこそ変化球が生きる。球の速さや曲がり、落ちは二の次だ。

 戸郷にしてもそうだ。真っすぐとフォークのコンビネーションが持ち味の投手だ。それが真っすぐで外角低めに決めることができないでいる。ボール球先行で苦しくなって、ボールが高めに集まるようになる。

 小山さんを思い出しながら制球力の大切さを改めて強く思う。

ヘルナンデスが2軍落ちした理由

 巨人投手陣で、先発として当てになるのは山崎伊織と井上温大の二人くらいか。堀田を次回も起用するところに苦しさが出ている。

 それでも泉口友汰と若林楽人の1、2番コンビが頑張り、萩尾匡也、佐々木俊輔、さらには増田大輝、増田陸といった控え選手たちも自分の持てる力を出している。

 クリーンアップが物足りない。それなりに打点を稼いではいるが肝心の場面でどうか。好調だったトレイ・キャベッジ、甲斐拓也が最近はボール球に手を出すようになった。

 ファーム落ちしたエリエ・ヘルナンデスもそうだった。阿部監督が決断したのも打席での内容が悪いからだ。打線がこれまで以上に奮起して投手陣を助けることが必要だ。

浅野はもっと自然体で

 3年目の浅野翔吾が3軍に落ちた。パワーがあるし開花する能力を持ってはいるが、いまのままではダメだ。

 本来ならいまチャンスをもらって1軍でプレーしている選手だ。打席で力が入っている。もっと自然体になった方がいい。見ているとじれったい。巨人の一OBとして打撃の考え方と打席での構え方をアドバイスできないかと考えている。

 とはいえ、私は外部の人間だ。軽々しく行動を起こせない。幸い、3軍の駒田徳広監督は現役時代に教え子だった。

 巨人の関係者がこのコラムを見たら、駒田監督に連絡を取り、私の意思を伝えてもらえたらと思う。そして、駒田監督が阿部監督の許可を得れば、アドバイスができるかもしれない。一OBの純粋な気持ちからだ。

 巨人は29日から9連戦、最低限いまの立ち位置をキープして乗り切ってもらいたい。

(成績は28日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。