大活躍中の「日本ハム・北山亘基」と「DeNA・梶原昂希」はなぜドラフト指名で“下位順位”だったのか…スカウトへの取材で分かった「納得の理由」

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プロに入っても、三振の多さは変わっていないが…

 ここからは野手に目を転じてみよう。注目は、下位指名から昨年ブレイクした選手が梶原昂希(DeNA)だ。北山と同じ2021年のドラフト6位。最初の2年は二軍暮らしが続いていたが、3年目の昨シーズン途中から外野の一角に定着した。91試合の出場で99安打、16盗塁、打率.292という見事な成績を残して、昨年の日本一に貢献している。

 大分雄城台高校時代の梶原は、全国的には無名だったが、神奈川大に進学すると、1年秋には早くも首位打者を獲得。大学球界では名前の知られた選手に成長した。にもかかわらず、ドラフトの指名順位は6位。高い評価を得られなかった。

「体も大きいし足も速くてパワーもある。下級生の頃から目立っていました。だけど、とにかくバッティングの調子の波が大きかったですね……。調子が悪い時には、なかなかバットにも当たらない。1試合で何打席も連続で三振するような試合もよく見ました。ホームランバッターならともかく、どちらかというとチャンスメーカータイプの選手でこれだけバットに当たらないと、スカウト陣の評価は上がらないですよね。6位という順位は妥当だったと思います」(他球団のスカウト)

 昨年は91試合の出場で98三振。プロに入っても、三振の多さは変わっていない。それでも、ここまで結果を残せたのは、たとえ三振しても積極的に打っていくことを否定しないDeNAのチームカラーが影響を与えていたようだ。

 梶原以外のレギュラー陣は、宮崎敏郎をはじめ、牧秀悟や佐野恵太とミート力が高い選手が揃っており、打線のバランスもよく取れている。とはいえ、足を使える選手は少ないことから、俊足の梶原を抜擢できる“土壌”がチーム内にあったといえる。

 今年もここまで19試合で18三振を喫しているが、チームトップクラスの21安打を放ち、リードオフマンの役割を果たしている。今後もチャンスメーカーとして、かかる期待は大きい。

 北山と梶原の例を見ても、アマチュア時代の評価は絶対的なものではなく、プロ入り後の環境によって左右される部分が大きい。今後も彼らのように、上手く持ち味を生かして、下位指名から飛び出してきた選手にぜひ注目して頂きたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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