大活躍中の「日本ハム・北山亘基」と「DeNA・梶原昂希」はなぜドラフト指名で“下位順位”だったのか…スカウトへの取材で分かった「納得の理由」

スポーツ 野球

  • ブックマーク

 毎年多くの選手が、ドラフトで指名されて入団してくるプロ野球の世界。なかでも注目度が高くなるのが、ドラフト1位の選手であり、今年も宗山塁(明治大→楽天1位)や伊原陵人(NTT西日本→阪神1位)が即戦力の期待に応えて活躍を見せている。その一方で、指名順位こそ低かったものの、チームに欠かせない存在となっている選手もいる。では、なぜ彼らは低い評価でのプロ入りとなったのか、それでも活躍することができているのか。関係者の証言などから探ってみたい。【西尾典文/野球ライター】

 ***

「ストレートが大学時代よりもはるかに良くなった」

 投手で名前が挙がるのが、北山亘基(日本ハム)である。1年目からリリーフとして55試合に登板。2年目からは先発にも挑戦すると、今年もここま3試合に登板して2勝0敗、防御率1.04という見事な成績を残している(4月23日終了時点)。そんな北山は、2021年のドラフト8位であり、この年に支配下で指名された投手の中では最も低い評価でのプロ入りだった。

 しかし、北山は決して“無名”だったわけではない。京都成章時代には3年夏にエースとして甲子園に出場。京都産業大でも早くからリーグ戦に登板し、4年春には最優秀投手に輝いている。この年の関西の大学生投手では注目される存在だったことは間違いないだろう。では、なぜ「8位」だったのだろうか。他球団のスカウトは、その理由について以下のように話してくれた。

「個人的に気になった点は、フォームですね。(テイクバックで)右手が大きく下がるので、どうしても肩に負担がかかりやすいように見えました。ちょっと引っかかるような動きもある。ストレートは良くても変化球は、そこまで特別なボールはない。右のオーバースローの投手としては、プロに入っても平凡に見えてしまう。それが8位まで残った理由ではないでしょうか」(関西地区担当スカウト)

 実際、大学時代のリーグ戦の通算成績を見ても、14勝13敗とそこまで目立った数字は残っていない。これに加えて、大学4年間で一度も全国大会に出場できなかった。これも、スカウト陣の評価が上がり切らなかった原因と言えそうだ。
 
 それでも、プロでいきなり活躍できたのは、なぜか。前出のスカウトは以下のように分析している。

「ストレートが、大学時代の印象よりもはるかに良くなったように見えますね。大学時代、特に4年生の時はフル回転で投げないといけなくて、完投することも多かったので、どうしても状態を維持するのが難しかったのだと思います。それと、プロで最初にリリーフをやったことも良かったのではないでしょうか。短いイニングで(投げる)出力を上げることができて、そこから先発になったというのも良いステップになったように見えますね」

 京都産業大は、伝統のあるチームであるが、部員数は他大学と比べると多くはない。北山は、4年時に春秋ともに7試合に先発して50イニング以上も投げている。そうなれば、どうしても持っている力を出し切れなかったといえるのではないだろうか。また、入団した当時の日本ハムは下位に沈んでいたこともあって、登板できるチャンスが多かった。これも北山にとっては幸運だったと言えそうだ。

次ページ:プロに入っても、三振の多さは変わっていないが…

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。