米棚が空っぽのスーパーも多いのに「3000円前半のコメが報道されるように…」 江藤農水相「謝罪」のウラでまたもや消費者感情“逆なで発言”

国内 政治

  • ブックマーク

コメ不足はトイレットペーパー騒動と同じ

 1973(昭和48)年に第4次中東戦争が勃発。中東の産油国が原油の生産量を減らしたことで第1次オイルショックが起きた。この時、日本では「トイレットペーパーが不足する」というデマが飛び交い、多くの国民が買い占めに走った。

「トイレットペーパー騒動は、嘘の情報に日本人が踊らされたことで起きました。しかしコメの高騰問題は今、目の前で起きているリアルな現象です。コメが棚にないスーパーさえあるにもかかわらず、江藤農水相はコメなら足りているという認識を改めません。それどころか、『コメがないのではないかという不安感』が消費者、流通関係者、集荷業者に存在し、それが『ネットや伝聞』によって増幅したことが高騰の原因だと指摘しました。これでは私たち国民全員がデマに踊らされてコメの買い占めを続けており、その結果コメが安くならないと断じるのと同じです」(同・記者)

 さらに4月1日の会見では、依然として“転売ヤー”の問題にもこだわった。ちなみに江藤農水相の選挙区は宮崎2区(延岡市や日向市など)だ。

 会見では「山の奥の高千穂でも、宮崎弁とは全く言葉で違う話をする人が突然来て、全部売ってと言われたという話もありました(註)」とのエピソードを披露。転売ヤーの暗躍がコメ価格高騰の一因だと力説した。

3000円前半のコメ、の謎

 だが、この問題についても専門家は「たとえ転売ヤーが存在するにしても、その数は少ない。まして全国のスーパーでコメ販売価格が2倍に高騰するほどの影響力があるはずもない」と一笑に付している。幻の転売ヤーよりは、外国人観光客が食べるコメの量のほうが、よほど影響力は大きいだろう。

 そして江藤農水相が「申し訳ない」と謝罪した4月22日の会見でも、消費者目線では気になる発言がいくつか散見された。

「江藤農水相は備蓄米が放出された結果として、『ようやく、テレビなどでも3000円前半とか、そういう米が報道されるようになってきました』と歓迎したのです。この発言は一部のメディアが伝えたとはいえ、もしテレビで大々的に放送されたら批判が殺到したのではないでしょうか。視聴者の多くは『3000円前半とは一体、どこの都道府県で売られているコメだ』と首を傾げたに違いありません。何しろ首都圏を筆頭に備蓄米など全く見たことがない人のほうが全国では圧倒的多数を占めるからです」(同・記者)

 第2回の【江藤農水相は「コメ輸入拡大」に懸念を表明したが韓国米は軽視…高い関税を払って外国米を輸入しても「高騰のおかげで採算がとれる」皮肉な状況に】では、備蓄米が3000円前半で販売されたと本当にメディアが報じたのか、出所を探してみた。

 さらに江藤農水相が4月22日の会見で披露した「お金を出しさえすれば手に入るということを、日本人が信じすぎたゆえに、食料自給率が低過ぎたという側面があると思っています」との自説の問題点や、韓国米を「在日韓国人の方々が好んで召しあがっている」と軽視するなど、輸入米の脅威を全く考慮していない疑問点などについて詳しくお伝えする──。

註:農水省公式サイトの「大臣等記者会見」から引用し、全て原文ママ。正しい表記は「宮崎弁とは全く違う言葉で話をする人」か? 

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。