トランプショックを待たずに「暗いトンネル」突入の韓国経済 第1四半期マイナス成長が示す「縮む」時代の幕開け
韓国の2025年第1四半期(1-3月)の実質GDP(国内総生産)成長率が前期比マイナス0・2%を記録した。引き金となったのは政局不安による消費の減退だが、根には人口減少がある。「今後、トランプ関税の影響が本格化するため2025年通年でもマイナス成長に陥る可能性が出てきた」と韓国観察者の鈴置高史氏は見る。
マイナス0・2%の衝撃
鈴置:4月24日に韓国銀行が発表した第1四半期の実質GDP成長率(速報値)は前期比マイナス0・2%でした。韓国では「ついに来るべきものが来た」との衝撃が広がっています。
2024年の年間の成長率は2・0%でしたが、不安を抱えるものでした。第1四半期に1・3%の「サプライズ成長」をした後、第2四半期にはマイナス0・2%に落ち込み、第3、第4四半期もそれぞれ0・1%の小幅のプラスに留まりました。
これに今年第1四半期のマイナス0・2%が加わって、韓国人はついにゼロ成長の時代に突入したと認識したのです。
朝鮮日報は「韓国の第1四半期マイナス0・2% 逆成長ショック…1年間成長が止まった」(4月24日、韓国語版)で「トランプ(Donald Trump)米大統領による関税戦争の影響が出る前から、韓国経済は泥沼に陥った」と評しました。
韓国経済新聞の見出し「[速報]韓国、第1四半期マイナス0・2% 逆成長の衝撃…『成長が止まった』」(4月24日、韓国語版)もゼロ成長時代の幕開けを告げるものでした。
韓銀も異例なことに第1四半期のマイナス成長を「予報」していました。市場に与える衝撃を緩和する狙いだったのでしょう。
4月17日に発表した「経済状況評価(2025年4月)」の中にわざわざ「今年第1四半期と今後の成長の流れの評価」という1節を設け、「第1四半期は小幅のマイナス成長となる可能性を排除できない」と明記したのです。
韓銀の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁も同日の会見で「突然、暗いトンネルに入った感じ」と述べました。「暗いトンネル」との表現を使うことで、ゼロ成長、あるいはマイナス成長の定着を覚悟するよう、国民に促した感があります。
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