「恋愛対象ではなかった」“10歳年下女性”と結婚した男性の心を動かしたのものとは? キーワードは「尊敬」
告白をお断り
告白すると決めた彼は12月、穏香さんを会員制の高級焼肉店に誘うも、緊張で何も言い出せず。「体調悪いのかな?」と彼女が訝るほどだった。結局、河岸を変えた大衆居酒屋の喧騒の中で、酔いながら振り絞った言葉は「付き合ってみようって言われたら、どうする?」。もはや告白かどうかも不明だが、彼女はそれまで「お兄ちゃんみたいな感じの好きさ」だったのに「そんなふうに思ってたんだ」と初めて意識する。だが年の差も考えて1週間保留した後、断ってしまった。結婚を意識する年齢の匠平さんとは温度差があった。
「他の人と付き合ってるのを想像したら……」
12月29日、彼はLINEした。「若いし、やりたいことあるのを邪魔できんけぇ、次は良きお兄さんとして会おう」。福岡へ戻る新幹線でそれを受け取った彼女は彼への気持ちに気付く。「他の人と付き合ってるのを想像したらイヤだった」とは穏香さん。この日を記念日に交際が始まった。
24年6月、匠平さんの父が他界。穏香さんをかわいがっていた父に「結婚の報告をできず、孫を見せられなかった」と悔やんだ彼はプロポーズを決意する。
プロポーズ直後に爆睡
3x3の表彰で彼女と共に上京することになった9月21日をその日と決め、前日に慌てて指輪を買った。鉄板焼店、居酒屋、バーでしこたま飲んだ帰り、「こりゃもう言わんといけん」と決心。「渡したいものがある」と告げたが、雰囲気を察した彼女は「一生の思い出がこんなところじゃ……」と拒んだ。そこは酔客がひしめく新橋の往来。彼女の意見もごもっとも。
宿泊先に戻り、すでに疲れと酔いで限界だった彼は「こんな僕だけどこれからも一生懸命頑張るので結婚してください」。うれし泣きに暮れる彼女が指輪をはめ、記念写真を撮ったが、直後、携帯電話の充電が切れるように彼は爆睡。翌朝の彼は前夜の件もうろ覚えだった。
飲食業の経験が長い穏香さんは匠平さんと一緒にチーム関係者らも集まれるような飲食店を営むのが夢だ。
それがかなった時こそ彼は彼女があきれる酔態も見せず、“充電切れ”になることもないだろう。