「僕は忘れられたゴルファーだった」 マスターズ惜敗でも“最高にイイ奴”だった「ジャスティン・ローズ」は復活した元天才少年

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「よし、みんなで再挑戦だ!」

 今年のマスターズ最終日の夜。ローズがあらためてSNSに、こう記していた。

「僕は全力を尽くした……。ローリー・マキロイよ、マスターズ優勝とグランドスラム達成、おめでとう。あの瞬間を同じグリーン上で共有できたことは、とてもうれしいことだった。そして、僕のチームの面々には、この1週間のすべてのサポートに感謝している。よし、みんなで再挑戦だ!」

 まだ諦めてはいない。諦めるには早すぎる。マイナスをプラスに変える楽しさを知っているローズは、今回の惜敗をきっと勝利に変えるはずだ。

 ローズの優しい人柄とネバーギブアップの歩みをよく知っているからなのだろう。マキロイも「ジャスティンがマスターズで優勝するチャンスは、あと数回、残されていると僕は信じる」と頷いていた。

 年齢的に考えれば、来年、再来年、もしかしたらあと3年後ぐらいだろうか。ローズがマスターズ制覇の悲願を達成するために残された時間は、長くはないが、ゼロではない。悲願が叶うかどうかは、ローズにも誰にもわからないが、たとえ勝てなくても、社会の片隅にいる子どもたちに手を差し伸べ、一緒に笑い合うローズから笑顔が消えることはない。そう思えば、少しだけ安堵はできる。

 しかし、もしもこの世の中にゴルフの神様がいるのなら、「こういう選手にこそ微笑んでほしい」「こういう選手の悲願を叶えてあげてください」と、祈らずにはいられない。

舩越園子(ふなこし・そのこ) ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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