ブリに日本酒… アメリカで大人気の日本食材、生産者から悲鳴 「恩義があるので、値下げを飲まざるを得ない」
「アメリカでは『sake』が市民権を得ているが……」
片やアイガモ農法をウリにして日本酒の販路拡大を狙っていたのが、福島県会津若松市のコメ農家であるリチャード・ボンドさんと亜貴さん夫婦だ。
「6年前から、私共は有機米を生産し、酒蔵さんに仕込んでいただいた純米酒『ロハ酒』を販売しています。今年の秋から、オーガニックを愛する人たちが世界一多く住むとされるカリフォルニア州へ輸出する予定でしたが、関税で事業の見通しが立てづらくなってしまった。アメリカ人はワイン疲れを起こしていて『sake』が市民権を得ています。現地で酒造りを始める人がいるほどで、日本酒の需要は今後も伸びていくと思うのに」(リチャードさん)
「日本酒業界全体で努力してきた」
すでに米国へ活路を見いだしていた老舗の造り酒屋にも、関税の影が忍び寄る。
「20年ほど前から、日本の人口減少に伴い日本酒の出荷量が減るといわれてきました。だから新たな市場となる輸出先を見つけようと、業界全体で努力してきた経緯があるのです」
とは、宮城県石巻市の酒造会社「平孝酒造」である。
「弊社は大きなメーカーと違って数量は多くないですが、輸出の8割以上は米国向けです。今はニューヨークやロサンゼルスのすし屋さんや和食店で、弊社の純米酒『日高見』をメインに置いてもらっています。現地のインポーターの社長と話すと、関税の影響は出始めていて、アジアからの食材の値段が3割くらい上がっている。レストランも同じくらい値上げしないと厳しいと言っていました」
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