「タイムリー欠乏症」の巨人打線に求められるものとは ファーム落ちの戸郷よ、もっと外角低めの真っすぐを磨け【柴田勲のコラム】
低めのボール球を振っている
巨人がマツダで広島に3連敗を喫して、今季初の借金1で5位に転落した。2週続けて週末は3タテだ。
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チームの雰囲気は悪いと思う。エースの戸郷翔征がファーム落ち、打線は完封負けし、守備の乱れが顔を出した。
13日はトレイ・キャベッジが左手親指を痛めて欠場し、阿部慎之助監督は新打順で臨んだが、思ったように機能しなかった。
いまの巨人、肝心な時に打てない。要するにタイムリーが出ない。2試合連続で11残塁が物語っている。打者の基本は2ストライクまではストライクゾーンを狭めて待つ。ベルトより少し高めがいい。低めは振らない。これを徹底する。
ところが巨人の打者たちは総じてストライクを見逃して低めのボール球を振っている。打撃好調だったキャベッジにもその傾向が見え始め、また若林楽人にも言えた。いい例が12日の床田寛樹との対戦だ。初球からシンカー、スライダー系の落ちるボールに手を出していた。術中にはまっていた。あれじゃあ完封されるのも当たり前だ。
打つべきボールのセレクトが悪い。甘い球は必ずくる。それを見逃さないことだ。
坂本は「腐っても鯛」
本来なら1番に座るはずの丸佳浩がケガで離脱していることもあって打線を固定できずにいる。14試合で11通り、これじゃあチームは落ち着かない。
何度か言ってきたが打線は1番と4番が決まるとなんとかやりくりできる。それが開幕から1番を若林楽人、オコエ瑠偉、中山礼都、萩尾匡也と回し、13日は泉口友汰を起用
していた。2安打2四球と結果を出したが、そう長く続くとは思えない。
固定できない打線……私なら1番は出塁率がよく打撃好調の吉川尚輝を使う。2番は坂本勇人、3番はケガが癒えていればキャベッジで4番はもちろん岡本和真、5番はエリエ・ヘルナンデス、6番は甲斐拓也だ。
阿部監督はたびたび坂本を外して中山を起用するが、これが理解できない。確かに坂本もボール球を振っている。自信を失っているようにも見える。だけど「腐っても鯛」だ。起用し続ければ必ず打つ。阿部監督はもっと積極的にアドバイスを送り、また「お前は看板選手だ」と言って送り出してもいいではないか。
第一、相手投手は中山よりも坂本の方がイヤなはずだ。36歳、まだ老け込む年齢ではない。プライドだってある。
だが、15日、阿部監督は坂本の登録を抹消した。この判断は疑問に思う。選手には調子の良い時もあれば悪い時もある。そんな時も我慢して使うという選択肢もあるはずだ。坂本はそれに値する選手だと思う。
打線に関してだが、もっと言うなら2番を甲斐にしてもいい。彼も出塁率が高い。いまの巨人で甘い球をしっかり仕留めているのは岡本とこの甲斐だと見ている。その場合は坂本を6番に置く。3番と5番を入れ替えてもいい。
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