「タイムリー欠乏症」の巨人打線に求められるものとは ファーム落ちの戸郷よ、もっと外角低めの真っすぐを磨け【柴田勲のコラム】

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戸郷がファームで投げるべき球は

 戸郷は前回の今コラムでも指摘したが、同じことを繰り返した。それにしても106球
で10安打10失点は衝撃的だった。

 フォークが決まらないし落ちが悪い。振ってくれない。ボールが遅くなり威力がない。こんなことばかり考えているのだろう。打たれるたびに首を振っている。

 ピッチングの基本を忘れている。言うまでもなく生命線は外角低めの真っすぐだ。3試合で238球を投げているが、私が見たところ外角低めに決めたボールはわずか2球だけだった。甘い球を打ち込まれている。

 今回のファーム落ちでは例えば3日間投球練習をするなら100球のうち外角低めの真っすぐ70球を投げ込み、内角低めには30球を投げる。フォーク、スライダーなどの変化球は投げる必要がない。外角低めの真っすぐでストライクを取れるようになると制球力も良くなってくる。

 以前は打者に対して真っすぐで早めに追い込み、フォークで打者を仕留めていた。真っすぐとフォークのコンビネーションが持ち味だ。

 まずは真っすぐだ。復活を願っている。

救援陣は充実している

 一度記したけど、先発陣のコマが足りなくなったら救援陣から船迫大雅の抜てきを推したい。

 先発投手の条件に、長いイニングを投げられる、冷静である、四球が少ない、そしてポカをしないが挙げられる。彼はこの条件にピッタリ合っている。救援陣は充実している。5回まで投げてもらえば十分だ。

 今年の巨人、6、7回あたりまで1~2点リードしていれば大勢、ライデル・マルティネスの必勝パターンにもっていけるのだが、しばらく見ていないような気がする。これでは宝の持ち腐れだ。

 15日からは東京ドームでDeNA3連戦、そして神宮に移ってヤクルト3連戦だ。これ以上負けが込むとチームの雰囲気がますます悪くなる。

 そろそろスカっとした必勝パターンが見たいところだ。

(成績などは14日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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