「神戸、池田、絆には構うな」 6代目山口組が「一方的な抗争終結」を宣言するまでのドキュメント

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この度は全国の任侠団体の申し出により

 4月7日午後、6代目山口組の執行部3名が兵庫県警本部を訪れ、「神戸山口組との抗争を終結する」旨の宣誓内容を伝えたことは既に報じた。10年近くに及ぶ抗争に終止符を打つ意思が示されたわけだが、そこに至るまでの動きを辿ってみよう。

 4月7日午後1時、兵庫県警本部を訪れたのは6代目山口組の森尾卯太男本部長(大同会会長)、安東美樹若頭補佐(2代目竹中組組長)、そして津田力若頭補佐(4代目倉本組組長)だった。そこで伝えられた宣誓文はざっと以下の通り。

《この度は全国の任侠団体の申し出により山口組は処分者の井上、入江、池田、岡本、宮下との抗争を終結する事にしました。尚、山健組処分者の織田とも今後一切揉める事はしません。一般の市民にはご迷惑お掛けしました。高山清司 執行部一同》

4月4日の重要な会談

 宣誓文にある名前について説明しておくと、井上とは神戸山口組の井上邦雄組長、入江は神戸山口組の入江禎・元副組長(2代目宅見組組長)、池田は池田組の池田孝志組長、岡本は神戸山口組の岡本久男舎弟(2代目松下組組長)、宮下は宮下和美舎弟頭補佐(2代目西脇組組長)を指し、そして織田は絆會の織田絆誠会長のことだ。

 ここに至る流れを見ていこう。3月中旬、6代目山口組若頭で3代目弘道会の高山清司総裁と同・若頭補佐の竹内照明会長(3代目弘道会会長)、そして6代目稲川会の内堀和也会長とが会談を行ったことが発端になっている。その時点ですでに「抗争終結」がテーマになっていたとされる。

 その後の4月4日、10代目瀬戸一家本部(愛知県瀬戸市)を住吉会の小川修司会長と稲川会の内堀和也会長が訪問。高山若頭をはじめとする6代目山口組の執行部がこれを出迎えた。警察の担当者やメディアが見つめる中、「重大な話し合い」が行われたという。

返答は7日

 ここで小川、内堀の両会長は「6代目山口組に対し、日本の任侠界の総意として諸事情に鑑み抗争相手に対して今後は襲撃を控えていただきたい」との要望を伝えたとされる。一方の6代目山口組側は司忍組長に伝えて執行部会議に諮って後日に回答することを約束した。

 日本の任侠界の総意というだけあって、「賛同したのは25の指定暴力団のほとんど」(元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏)とのことだった。

 7日、今度は高山若頭が藤井英治若頭補佐(5代目國粋会会長)と竹内若頭補佐を伴って稲川会館(神奈川県横浜市)を訪れ、待機する小川会長と内堀会長と面会し、要望の受託を伝えた。これを受けて兵庫県警に先述の宣誓書が提出されたという流れになる。

 8日には6代目山口組の緊急集会が開かれ、11代目平井一家本部(愛知県豊橋市)に直参舎弟全員が集められた。

 タイミング的にも招集をかけた範囲も含めて極めて異例の集会で、抗争終結に関して説明がなされたようだ。

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