「アメ車を輸入しろ」と迫る米大統領を黙らせた「安倍晋三元首相」の鮮やかすぎる返答…“悲劇の宰相”存命ならトランプ関税にどう対峙したか

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 アメリカ時間の4月2日、この日をトランプ大統領は「アメリカ解放の日」と位置づけ、相互関税の対象国とパーセンテージを発表した。日本は24%と大きく報道されたのはご存知の通りだ。ちなみにトランプ大統領は理由として、日本がアメリカに課している関税は実質46%であり、特にコメは400%に達していることなどを挙げた。多くの専門家が46%も400%も根拠不明の数字だと首を傾げたことは言うまでもない。

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 日本人には24%も46%も400%も衝撃的な発言だった。しかもトランプ大統領は突然、故・安倍晋三元首相の名前を口にしたのだ。日本のメディアだけでなく、欧米のメディアも安倍氏を言及したことにニュースバリュー(報道価値)があると判断し、記事を配信した。

 この稿ではアイルランドのネットメディア「Irish Star」が4月2日に配信した、「トランプ大統領が日本への関税を“暗殺された首相”に捧げる」との記事を紹介させていただく(註1)。ネット上で広く読まれ、検索上位に表示されるためだ。

 記事によると、日本に対する相互関税を発表する際、トランプ大統領は《感情をあらわにした》という。それでは大統領の発言を改めて振り返ってみよう。

《「日本の総理大臣……ああシンゾウ、シンゾウ・アベ、彼はファンタスティックな男だった。残念なことに彼は暗殺されてしまった》

《「私が彼のもとに出向いた際、『シンゾウ、我々は不公正貿易に関して何か手を打たなければならない』と言った。すると彼は『その件に関しては分かっている、その件は分かっているよ』と言った。彼は素晴らしい紳士だったし、ファンタスティックな男だったが、私が『シンゾウ、我々は何か対処しなければならない』と言ったことをすぐに理解し、『分かっている』と言った》

「もし安倍さんなら」の声

 安倍氏とトランプ大統領が初対面から意気投合し、常に緊密な人間関係を築いていたことは広く知られている。改めて、二人の絆の深さが証明されたということだろう。

 ネット上では「もし今の首相が安倍さんだったら、トランプ大統領に相互関税は無意味だと説得できたのではないか」という声は根強い。

 日本に対する相互関税は24%というニュースは、日本時間の4月3日に報じられた。この日に定例会見を開いた群馬県の山本一太知事は、「もし今の首相が安倍さんだったら」という仮定に関して私見を述べた。県の公式サイトに掲載された速記録からご紹介しよう。

 山本知事は「やっぱり安倍元総理が生きておられたらなと思います」と記者団に切り出すと、誰が首相であっても安倍氏は政府特使としてアメリカに渡り、トランプ大統領と様々な話をしたのではないか、との考えを示した。

《安倍さんはですね、トランプ大統領と会う中で、例えば外交安全保障とかについては、いろんなことを聞かれて、いろいろ安倍総理なりの説明をしていたようなんですよ。トランプ大統領も後で、晋三に譲り過ぎたとか言って笑っていた場面があったと思うんです》

 山本知事はコメの関税が700%であるとか、相互関税の24%などは全く根拠のないものと批判した上で、次のように述べた。

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