犬猫が子どもより多い時代…新幹線、脳活サプリ、空間除菌まで 進化する「ペット市場」の商機と課題

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 一般社団法人ペットフード協会の「令和5年版 全国犬猫飼育実態調査」によると、一昨年の犬猫の想定飼育頭数は1,591万頭。これは同年の15歳未満の子どもの数1,435万人を上回る数字だ。これから少子高齢化がさらに進むこと鑑みれば、「ペット」には確かな商機があるとも言える。ペット市場の現在を、愛犬・さくらと暮らす消費経済アナリストの渡辺広明氏が取材した。

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 ペット市場は約1兆8,629億円の規模を誇り(矢野経済研究所の「ペットビジネスマーケット総覧2023」より)、現在の日本では数少ない成長市場となっている。そんな市場の今を確認すべく、4月3~6日に東京ビックサイトで開催されたペット関連商品の国内最大の展示会「第14回インターペット」を訪れた。

 筆者は仕事柄、さまざまなジャンルの展示会によく行くが、こちらは近年稀にみる活気があった。ビジネス商談日と一般公開日の日程が分けられており、参加したのは後者。ペットの同伴も可能になっており、展示会というよりは、愛犬と遊びに行けるイベントといった趣だった。

 各所にペットトイレが設置され、複数のエリアに並ぶキッチンカーの周りでは、ペットと共に食事も可能。飼い主・ペットともに大変嬉しそうな、ホッコリした風景が広がっていた。愛犬家の筆者も、会場の可愛いペットについつい目が行ってしまい、視察が疎かになりそうだった。

やはり豊富な「食」カテゴリー

 今回のインターペットには、950社以上が出店した。東京ビックサイト東の1~8ホール全てが使用されていたから、目的をもって回らないと見きれない規模である。

 まず行列を見つけたのは「試食コーナー」だった。人気を博していたのは、犬用の馬肉ペットフードである。我が家のさくら(チワワとマルチーズのミックスと聞いているが、おそらくチワワと柴犬のミックス)も、馬ジャーキーが大好き。少し値段が張るので、いざという時のご褒美にしている。なぜか犬は馬肉が好きなのだ。

「食」の分野では、“生肉”や高級食材であるすっぽんを使ったフードなど、人間顔負けの進化を見せている。

 ほかにサプリも豊富で、関節や皮膚、口腔、瞳など効能別のラインナップはもちろん“脳活サポート”サプリまであるのには驚いた。犬に脳活は必要なのだろうか。世が進むにつれ“番犬”から“家族の一員”になったペットは、会話でのコミュニケーションができないこともあり、人間よりも手厚いサポートになりがちだ。サプリは、そんな例の最たるものだろう。

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