六本木のアミューズメントカジノで「ポーカーの負け代250万円」が支払えなくなった客が警察に駆け込んだ 店側は取材に「無銭飲食と同じ。必ず払ってもらう」

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オーナーからの取り立てを一切無視

「明らかな違法賭博なんだからバックれちゃえばいいだろう」

 この言葉にAさんはハッとした。ネットでも調べたが、違法な賭博で作った借金は無効とあった。

「勝った時は勝ち分を受け取っておきながら、負けたら払わないのは、人として間違った行為であることはわかっています。けれど、あれは異常な空間だった。どんどんレートアップしていき、無尽蔵に貸し付けられる状況で…。そして、現に私は返済する力を全く持っていないのです。支払う義務がないならば逃れたい」

 すでに会社もこのトラブルを把握しているという。
 
「私が電話などに出なかったため、オーナーが会社にまで電話をかけたからです。上司に事の経緯をすべて話したところ、上司からは『借金トラブルを早く解決するように。その後進展があればすぐに報告するように』と言われているのが現在の状況です」

 以上がこのトラブルのAさん側の言い分である。実際、Aさんは残債の支払いを逃れることができるのだろうか。元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士はこう指摘する。

「日本では賭博罪があるので、Aさんがやったポーカーは違法賭博だった可能性がある。民法では公序良俗に反する約束は無効と定められており、Aさんがやったポーカーが違法と認定されれば、支払い義務を負いません」

店側の主張

 では開き直ったAさんに対し、店のオーナーはどうするつもりなのか。電話すると30分間の取材に応じ、次のような見解を述べた。

――Aさんは払わないと言っているがどうするつもりなのか。

「めちゃくちゃですよ。うちはお会計を踏み倒されている被害者なんです。ちゃんと法的ルールを守っているつもりで、警察にも相談させていただいています。弁護士を介してAさんには必ず残債を返済してもらうよう、今後も請求していくつもりです」

――Xで行われていたゲームは、違法賭博だったのではないか。

「うちはアミューズメントのルールに則って、現金は渡していません。金額が高額になるのはお客さんたちが勝手にアツくなっているだけ。お客さんが勝っても、店から渡すのは店内のポイントやウェブコインです。Aさんには支払えるか確認してからチップを渡しています。彼は大丈夫と言ってプレイを続行し、お金が払えなくなり、踏み倒そうとしているのです」

――担保も取らずに信用で貸し続けたから招いた結果なのでは。

「支払い確認だけで、お客さんの言葉を信用してしまったのは確かにこちらの落ち度でした。ただ先払いにしてしまうと、賭博になってしまう側面もあるのです。あくまでうちはチップのレンタルをしているだけで、お客さんが帰る時にチップのレンタル分を返してもらい、その不足分についてお金をもらっているだけです。飲み屋で高いシャンパンを入れる行為と同じで、いちいち、お会計大丈夫ですか?と聞きませんよね」

――Aさんは監禁されたと主張しているが。

「支払いどうするんですか、という話になっただけです。僕からは警察行きますか、と言ったんですが、彼の方から、警察は困ります、なんとかするんで待っててくださいと引き留められました。職場に電話したのも、連絡が取れなくなったからだけの話で、支払いを待ってください、と言って緊急時の連絡先として職場の連絡先を残したのはAさんの方です」

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